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AbemaTVが語る、ヒットコンテンツを生む秘訣

「亀田興毅に勝ったら1,000万円」「72時間ホンネテレビ」ヒットの訳

 AbemaTVの現状がわかったところで谷口氏は、実際の番組事例をもとに、ヒットを作る仕組みについて解説した。中でも特に話題になった「亀田興毅に勝ったら1,000万円」「72時間ホンネテレビ」をレポートでは取り上げる。

 「亀田興毅に勝ったら1,000万円」に関して、谷口氏は「予定不調和を作ろうとした」と語る。

 「若年層の方は決められたタイミングで笑うといった予定調和に疲れてしまうという仮説がありました。そのため、先の展開が予測できないものを企画しました」(谷口氏)

 亀田興毅氏はカリスマ性、ヒール性を兼ね備えており、当時10代から20代だった人にも広く認知されていると考えキャスティング。対戦相手には、不良を当てることで試合結果が想像できないワクワク感が作れた事例になったという。

 結果も、AbemaTVが一時的に視聴できなくなるほどの想像以上の反響で「先にAbemaTVがKOされてしまったという感じでした(笑)」と谷口氏は冗談を交えたが、それだけの人気が同番組に集まった。

 「72時間ホンネテレビ」は稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の3人が事務所を退社して初めて公の場に出たコンテンツだ。

 同番組では、3人にソーシャルメディアを利用してもらい、視聴者がソーシャルメディアを通して番組のリアルを体感してもらえるような仕組みを形成。この番組でも予定不調和を生み、ソーシャルメディアで3人の投稿を見た人が番組に訪れる構造を作ることに成功した。

 AbemaTVでは、これらのコンテンツの他にも、多数のオリジナルコンテンツがある。谷口氏はどのコンテンツも地上波ではできないものを目指しているという。

 「童貞と元童貞に捧ぐ『DTテレビ』や外見や性格に何らかの悩みを抱えている女性を集めた『おぎやはぎの「ブス」テレビ』など、地上波だと忖度というか、幅広い層の支持を考えると中々手掛けられない狭くて深いテーマを番組にしています。社内では『ひんしゅくは金を出してでも買え』という言葉を胸に企画を立てています」(谷口氏)

話題化するコンテンツの6つの切り口

 事例をいくつか紹介した後、谷口氏はAbemaTV内で体系化しているヒットコンテンツを生み出すための仕組み作りについて話した。

 「AbemaTVはスマートフォンの画面を占有しなければならないので、恋人とのLINEやゲームアプリなどの競合に打ち勝ってAbemaTVのアプリをタップしてもらう必要があります。そのため、どうしても見なければならない理由を作ろう、とにかく事前に話題作りを徹底しようと伝えています」(谷口氏)

 同社ではその前提のもと、以下6つの切り口から企画を考えている。

1.禁断感

2.リスクテイクできているかどうか

3.リアルタイムで答え合わせをしたくなる番組

4.レギュラーは育成ゲーム的要素

5.予告編がスマホでずっと流れている状態こそが話題になる番組

6.テレビと映画の中間

 1つ目の「禁断感」は先ほどの亀田興毅の事例で見れば、ボクサー対不良という「禁断の戦い」「ここじゃないと見られないもの」を作るということだ。

 2つ目の「リスクテイク」は、先ほどの亀田興毅の続編として朝青龍を押し出したら1,000万円という企画では7人との対決で最大7,000万円の追加コストが発生するリスクがあった。制作側もそういったリスクを持って提供すると、ユーザーも「何が起こるかわからない」と引き付けられて視聴するのだという。

 そして3つ目以降の要素に関して谷口氏は「放送前に話題を作るために行う」と語る。

 「我々は本編のコンテンツを出し惜しみせず、事前情報をほぼ9割出すことで、結果だけ当日答え合わせにくるという形で番組視聴に誘導できています。放送まで詳細を隠してヒットするものもあれば、直前までコンテンツ内容を見せきることで興味喚起を促すこともあるので、そこはとても意識しています」(谷口氏)

 先述の「72時間ホンネテレビ」も、いかに鮮やかな情報解禁をするかを前提に企画を行ったという。情報解禁はオンエアの1ヵ月前から当日まで、どういった情報が出れば視聴につながるか工夫しながら設計。

 結果、3人が突然SNSデビューして、72時間生放送するという情報が一番インパクトが強かったものの、その情報解禁と情報解禁後の番組告知だと話題の総量は後者のほうが高かったのだ。これに対し谷口氏は「番組内のゲストに関する情報などで上手く話題作りができた」としている。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/05/14 09:00 https://markezine.jp/article/detail/28350

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