遅くとも1ヵ月以内には振り返り
MZ:御社だとキャンペーンが大量かつ猛スピードで動いていると思いますが、施策の振り返りはどのように進めていますか。

今西:施策の種類に関係なく、どんなに遅くとも1ヵ月以内には検証するようにしています。結果の良し悪しを分析して、次の改善案を練ります。
この時に重要なのが、ROASやROIという指標はマーケターとして追うのが当たり前だし、絶対追うべきです。しかし、同じことを繰り返してその数字を達成しているだけではおもしろくありません。
そのため、新しいことにチャレンジできたのかということも、重要視しています。イメージとしては7割は手堅いプラン、3割は攻めのプランといった感じです。
MZ:各グループで追うべきKPIは違いますか?
今西:全員が共通して、マーケティング施策を投下した事による売上の増加幅を見ています。ユーザーの獲得数も、もちろん日々見ているのですが売上の変化が第一です。
昔は、月の獲得ユーザー数の目標が10万人で、それを達成すればOKでした。しかし、それは本当に良質なお客様なのかという議論を経て、現在の考え方になりました。
ただ、デジタルマーケティングの部隊は、1日何人がダウンロードしたかという人数が明確にわかるので、その数字を追っています。また、コミュニティマネージャーは、リターンレート(Return Rate)という、お客様の継続率を指標として持っています。
リターンレートはゲームを遊んだ人が、翌日以降も遊んでいるかを計る数字です。たとえば今日は100人遊んでいて、翌日には50人だとすると、リターンレートは50%ということになります。当然、この数字が高ければ高いほどファンが多くいるということにつながります。
2ランクアップの目線で動く
MZ:ここまでDeNAのゲーム事業部のマーケティング活動を支える宣伝部の組織体制や、組織を運営していく上で意識していることを聞いてきました。最後に一言まとめをお願いします。
今西:今回の話では2つポイントがあります。1つはマインドと仕事のスタンスについてです。先ほど、組織を運営する上で「球の表面積」は全員が共通して意識しています。さらに、メンバーに伝えているのは「2ランクアップ」という言葉です。
たとえば、新卒のメンバーはその部署のリーダーの目線で仕事をする、僕であれば社長の目線で仕事をするといったように、自分より上の目線で仕事しないと、良い結果も生まれず、ビジネスの目線も上がりません。
マネージャーはあくまで役割ですが、その役割を任せるには、常々「マネージャーとはどういう仕事をするのか」ということを考えている人でないといけません。皆、そういう目線を持って仕事をしてもらうようにしてます。
もう1つは、マーケターとしていかにチャレンジしていくか、ということです。
国内だけでもインターネット広告費は1兆円を超える市場規模まで成長しており、日々新しい広告手法が登場しています。それをスピーディーに実行し、効果を見極めながら、良いものは改善しさらに拡大していくという、スピード感をもってどんどんチャレンジしていきたいですね。
MZ:ありがとうございます。次回は宣伝プロデューサーの方にプランニングを行う際のノウハウをお伺いします。お楽しみに!
