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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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DeNAのマーケティング組織を徹底解剖

アプリ業界からマーケターが学べることは沢山ある、DeNAのマーケ組織を徹底解剖

マーケティングはHowから入るな

MZ:組織作りをされる上で意識していることはありますか?

今西:宣伝部に限らない話ですが、弊社はピラミッド型ではなく「球の表面積」で組織を運営するようにしています。

 ピラミッド型だと、一番上にいる人が指示を出し、下のメンバーが指示を聞きます。球の表面積の場合は、DeNAという1つの球体の表面積を各メンバーが自分で守ります。守る表面積の大小はあれど、全員が主役だという考え方で動いているのです。

 また、球体なのでどこから見ても、フラットな上下関係のない組織になります。

MZ:各タイトルに対して、どのようなチーム編成で臨むのでしょうか。

今西:タイトルによりますが、宣伝プロデューサーは各タイトルに基本1人で、デジタルマーケター、コミュニティマネージャー、PRのスペシャリストは3、4タイトルを横断的に見ています。弊社はタイトル数が多いので。

 ちなみに、常時運用しているゲームタイトルは、外部のパートナー企業と協業しているものも含めると10タイトルほどあります。

MZ:マーケティング施策のPDCAを回す上で重要だと思うポイントはありますか。

今西:マーケティングのPDCAを回す上で意識しているのは、「Who、What、How」の順で考えることです。そうすることで、取りうる選択肢の幅が小さくなり、プランが失敗に終わる確率は下がります。

 アプリマーケティングの場合「Who=ターゲット」の選択肢はそこまで多くありません。一方、「How=広告手法」は数百に及ぶため、Howから考えると意思決定に時間がかかってしまいます。

 でも、マーケティングで失敗する企業の多くはHowから考えがちですよね、「新しいSNSが出たのでアカウント開設して運用しましょう」「A社のCM、B社のリアルイベントをマネしましょう」など手段から入りがちです。

 ただ、この場合ほとんどが失敗に終わります。例えば、TVCMのプランニング時、誰に何を伝えるか以前にタレントは誰にするかといった議論になってしまうケースがとても多いと思います。ターゲットを正しく設定していれば、そんなことには悩まず済むと思います。ただ、どのタレントさんを使うかの議論はとても楽しいですけど(笑)。

 そうではなく、まずWhoに当たる、ターゲットを理解するところから始めます。その上で、どのようなメッセージを伝えるのか考えて、最後に手段を決めます。

開発とマーケティングは密接であるべき

MZ:御社ではアプリの開発部分から宣伝部が関与しているそうですが、その理由を教えてください。

今西:その理由は、マーケティングと開発が密接な関係にあるからです。開発の段階から関われば、半年後にマーケティングを強化して行こうという戦略を立てた時でも、それに向けたイベントを開発できます。

 私たちは、アプリを一人でも多くのお客様にダウンロード頂いて、遊んでいただくところから、継続的に楽しめる状況を作るところまでをミッションとしています。そして、お客様が途中で飽きず継続的に楽しんでいただくには、ゲーム内に多くのイベントを作る必要があります。そのため、開発段階から関わっています。

MZ:反対に開発側から、「こういうイベントがあるから告知して」みたいなことはありますか?

今西:もちろん多いです。告知はすれば良いと思いますが、タイミングと伝え方というマーケティングコミュニケーション戦略が非常に重要です。ただ伝えれば良い訳ではなく、お客様に対して、なぜイベントを行うのかという背景も含めて施策をメッセージを伝えるべきなのではと考えています。

 開発者の思いを尊重することはとても大切です。しかし、そこに投資が発生する以上、マーケティング組織はいかなる場合も客観的視点が必要であり、その役割を担うのが我々だと思っています。

MZ:他の企業で「IT部門とマーケティング部門の間に壁がある、言葉が通じない」という話をよく聞くのですが、いかがでしょうか。

今西:弊社はゲーム事業部内に開発と宣伝の組織が一緒になっているので、ほとんどないですね。コミュニケーションを取る際も特にデジタルマーケティングには専門用語がとても多いので、わかりやすく説明することは意識しています。

 相手の知らない単語でけむに巻くことをやると、一気に信頼を失います。いかに相手に伝わる、相手のことを尊重したコミュニケーションを取れるかが大事だと思います。否定から入るのはダメです。減点方式ではなく、加点方式で考えていかなければならないと思います。

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遅くとも1ヵ月以内には振り返り

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/05/21 08:00 https://markezine.jp/article/detail/28384

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