「消費者・顧客を最もよく知る企業に」というビジョンを掲げる花王。そのビジョン実現に向け、デジタルの活用で貢献するデジタルマーケティング部 部長の鈴木愛子氏は、元々はコピーライターとしてコンテンツの企画・制作を担当していた。その後、ブランドマネージャーなどの職務を経験するうち、「コンテンツ制作にはデジタルの知見が必須」と、デジタルマーケティング部門との兼務を希望する。そして2017年1月、部の前身であるデジタルマーケティングセンター センター長として、事業やブランドのデジタルマーケティングの支援・推進に従事することになった。マスマーケティングとデジタルマーケティングの両分野を経験する鈴木氏は、デジタルという新たな手段をどう捉えているのか。
※本記事は、2018年5月25日刊行の定期誌『MarkeZine』29号に掲載したものです。
企業文化を言語化した「花王ウェイ」

花王株式会社 デジタルマーケティング部 鈴木 愛子(すずき・あいこ)氏
部長花王にコピーライターとして入社後、様々な商品やブランドのコンセプトワーク、コミュニケーション戦略立案から企画制作に携わる。2012~2013年にブランドマネージャー、2014年から広告作成部部長とデジタルマーケティングセンターのマネージャー兼務を経て、2017年より現職。
――御社は、企業理念である「花王ウェイ(The Kao Way)」の中で、ビジョンとして「消費者・顧客を最もよく知る企業に」と掲げていらっしゃいます。我々も、実はこのビジョンこそがマーケティングの本質だと考えているのですが、これはいつごろからビジョンとしてお持ちだったのでしょうか?
鈴木:「花王ウェイ」という形で明文化されたのは2004年です。ただ、このビジョン自体はもっと昔から先輩方から伝承されてきたもので、私も入社時からお客様の声を聴いて、そこから仮説を作るやり方を見ていました。
――そうでしたか。ずっとこのビジョンを掲げていらっしゃったわけですね。鈴木さんは、現在はデジタルマーケティング部を率いていますが、元々はクリエイターとして入社されたとうかがっています。
鈴木:そのとおりです。作成部門という部門があり、コピーライターとして入社しました。普通、コピーライターというと、広告のキャッチコピーを書く人と思われるでしょうが、花王ではコピーライターが商品のコンセプトやネーミング、「能書」から最終的な広告コピーまですべてに携わります。「能書」とは、パッケージに書いてある商品の説明文です。
たとえば「ニャンとも清潔トイレ」という商品は、事業部のマーケターと一緒に商品コンセプトをいくつかの方向で考えるところから着手して、ネーミング、パッケージの説明文、広告まで全部やりました。それまでにない新しい構造のトイレだったので、使い方をグループインタビューで猫の飼い主さんたちに読んでもらって、何度も直しました。
コピーライターだからといって文章だけにこだわらず、ビジュアルを使ったほうがわかりやすい場合は積極的に提案もしました。要は、伝わることが大事なので。――コピーライターといえば、テレビCMのキャッチコピーという印象があります。
鈴木:そうですよね。仕事の範囲は、商品のコンセプトやネーミング、能書から最終的な広告コピーまですべてに関わります。わかりやすく言えば、コミュニケーションをトータルで設計し制作まで行う仕事です。
商品コンセプトは事業部のマーケターが考えた原案となる軸をぶらさず言葉としてなめらかに、本意が魅力的に伝わるようにします。商品コンセプト立案から関わることで、能書への落とし込みもスムーズになりますし、広告も企画しやすくなります。
花王の場合、テレビCMが多いのですが、雑誌・交通広告、店頭ポスターなども担当します。1990年代からは、Webサイトのコンテンツ企画にも加わりました。
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岩崎 史絵(イワサキ シエ)
リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。
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