嫌われない広告を目指してブランドは変わらなければならない
――消費者が「自分自身」のストーリーとして考えていく、ナラティブマーケティングに近い考えでしょうか。
山崎:これまでは「あなたの興味関心に基づくと次はこれ」といったレコメンドがされてきましたが、「あなたが自主的に読んだ・知った・見たという選択・行動が、未来のWebでの体験を作っているんですよ」というコミュニケーションを続けていくことが理想的だと思います。
これが実現すれば、コミュニケーションの主体が消費者となり、広告もコンテンツとして受け入れられやすくなると考えています。
「コンテンツのクリック」の先にある、内容理解・咀嚼を目指す。ブランドやメディアは、これらの視点を持って、消費者とのコミュニケーションを図るべきなのではないかと考えます。
金谷:私もその考え方には、とても共感します。広告は、ともすると嫌われる存在です。しかし、本当は広告にも発見はあるし、純粋に良い体験を提供できれば喜んで受け入れられるものにもなり得る。だからこそ、読了率というユーザーごとの理解度を可視化できる指標は、次のコミュニケーション設計に役立つと思うんです。
山崎:広告も、クリエイティブを含め、ブランドが作っているものです。つまりは、ブランドの商品・サービスの一つです。広告だけにとどまらずブランドが発信するコンテンツにはメッセージを反映させ、ブランドに対して未来や期待感を抱いていただけるように、コミュニケーションをしていきたいです。
――今回伺ったことを踏まえて、最後に山崎さんの考えるブランドマーケティングについて、お聞かせください。
山崎:お客様には、それぞれにライフスタイルの変化があります。だからこそ、ブランドマーケティングは、長期的に良いイメージを持たれ、何かのトリガーでニューバランスを買っていただく確率を高めるのが仕事だと思っています。
そのためには、広告・商品・イベントなど、お客様とのタッチポイントを沢山作ることが大切です。弊社では、育成年代のサッカーの大会なども主催し、参加者にシューズの試し履きイベントなども行っています。
ブランドは、企業だけのものではなく、お客様のものでもあります。企業の理念だけでなく、お客様と一緒にブランドを築き上げていくという姿勢で、今後も取り組んでいきたいと思います。