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“広告獲得ユーザー全員離脱”からのUX改善 「i-dio」アプリが操作問い合わせゼロを達成するまで


意外なつまずきを知る、マンツーマンのモニターテスト

――モニターからアンケートを募り、さらにモニターテストを行う。2つの段階において、ユーザーありきの取り組みをされたわけですね。

五十嵐:そうですね。特にモニターテストにおいては、ご協力くださったモニターさんとマンツーマンのような状態で、改善点を洗い出していきました。これはUI/UXで言うところのHCD(Human Centered Design/人間中心設計)に則ったプロセスですが、あらためてユーザーの動向に目を向けてみると、意外なつまずきに気づかされます。

 たとえば「初期設定のやり方がわからない」という問題点にしても、アプリ外の操作でつまずくユーザーの存在が明らかになりました。

 たとえば、「i-dio」はインターネット回線を使うインターネットラジオ的な受信方法のほかに、スマートフォンと無線接続する専用モバイルチューナーを用いて放送波を視聴することができますが、そのためにはスマートフォンそのものの無線LANの設定を変更する必要があるため、一部のユーザーはそこでつまずき、離脱してしまいます。今回は、こうした問題点を一画面ごとに分類し、画面ごとのワイヤーフレームから、しっかりとご提案させていただきました。

 実際の構築を手掛けるデザイナーにも「この画面でこういう問題が起きており、この問題を解決するためにこのワイヤーが存在します」という一連の流れをきちんと説明する。これを徹底していましたね。

UI/UX改善が導いた“問い合わせゼロ”

――長谷川さんのお話にもあった「客観性」、すなわちUI/UXの根幹とも言うべき「ユーザー目線」を第一に進められたのですね。

長谷川:その通りです。何よりもユーザー目線でのわかりやすさにこだわり、改善していきました。以前のバージョンではグラフィックデザインの観点からデザインを構築していたため、どこか抽象的でわかりづらい側面がありました。しかし今回のバージョンアップでは、きめ細やかな説明を徹底しています。

 スマートフォンそのものの設定に触れるプロセスでは、当該画面のキャプチャ画像を埋め込みましたし、専用チューナーの設定に触れるプロセスではチューナーの写真を添え、「このボタンを押してください」と図で示しています。

 弊社ではサポートの窓口としてカスタマーセンターを設けていますが、旧バージョンのアプリをリリースした直後には、操作に関するお問い合わせが多くありました。それがリニューアル版のリリース後には、一切ありません。改善の結果を実感しています。

――旧バージョンのリリース後にはあった問い合わせが、リニューアル版のリリース後にはゼロに。とても大きな数字ですね。

五十嵐:それを聞いて、とてもホッとしました(笑)。

 今回のリニューアルでは長谷川さんがお話しくださったほかに「番組表の見方がわからない」という問題点を改善するため、画面の至るところに番組表への入り口を作ったり、放送が流れるまでのタイムラグに戸惑うという声を受けて、グラフィカルなインジケーターで示すスタイルから、「まもなく音声が流れます」と率直に文字で示すスタイルに修正しています。このように一貫して丁寧に説明するようなデザインが、良い結果につながったのかもしれません。

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ユーザーの実感を根拠とした提案が、経営陣を動かす

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D2Cスマイル編集部(ディーツーシー スマイル ヘンシュウブ)

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2018/06/27 15:44 https://markezine.jp/article/detail/28654

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