SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

モバイル活用の最新情報をお届け!D2C出張版

“広告獲得ユーザー全員離脱”からのUX改善 「i-dio」アプリが操作問い合わせゼロを達成するまで


ユーザーの実感を根拠とした提案が、経営陣を動かす

――長谷川さんから「旧バージョンのアプリには、グラフィックデザインの観点を用いた」というお話があったように、アプリのデザインには、視覚的なクオリティの高さも欠かせないはずです。「人に優しいデザイン」と「視覚的にかっこいいデザイン」の両立も、一つの課題だったのではないでしょうか?

五十嵐:そこに関しては、既に旧バージョンのグラフィックに慣れ親しんでいるユーザーさんもいるため、「ガラッとは変えずに」という方針で進めていました。以前のグラフィックを生かしつつ、操作性のわかりやすさを向上させるというスタンスです。こうしてリニューアルを経た今の実感としては、情報設計を始めとした構造的な部分をしっかり見直せば、表層のデザインは変えずとも改善はできると、それが実証できたのではないかと思います。

――構造による下支えが強固であれば、わかりやすさとかっこよさは両立できる。とても励みになる実証例ですね。もう一つ、UI/UXのデザインにおいて悩ましいのが、予算の獲得です。あらゆるサービスにおいて“体験”が重要視される一方、事細かな改善に関しては「経営陣の理解が得られない」という声も少なくありません。

長谷川:弊社でもここまで細やかなリニューアルをすることに対し、賛否両論があったのも事実です。ただ、そこでD2C dotさんにご協力いただいたアンケートの解析結果や、モニターテストの結果が大きな説得材料になりました。明確な根拠を示さず「ここが悪いと思うので改善します」では、経営陣を納得させられないのも当然です。しかしユーザーの実感を根拠に改善の必要性を訴えれば、評価はまるで違います。

――今回、ユーザーの声がリニューアルとして形になりましたが、リニューアルに踏み出すための第一歩、予算を通すという段階でも、ユーザーの声が生きていたのですね。では、今回の結果を経て、今後への展望についてもお聞かせください。

i-dioを用いた災害情報伝達システム「V-ALERT」の専用受信機も自治体向けに普及が進んでいる
i-dioを用いた災害情報伝達システム「V-ALERT」の専用受信機も自治体向けに普及が進んでいる

長谷川:直近の大きな動きとしては、今年6月に新たなアプリのリリースが決定しています。「i-dio」は柔軟性の高い放送プラットフォームで、今回リニューアルした標準受信アプリのほかにも、放送チャンネルの制作会社単位でも、独自に視聴アプリを開発しています。

 その一つが「TS ONE」というチャンネルを視聴するための専用アプリ「TS PLAY」ですが、6月には「i-dio」標準アプリと「TS PLAY」を一つのアプリに統合し、「TS PLAY by i-dio」として配信予定です。

 この新アプリでは「TS ONE」から開発された独自の拡張機能を取り入れ、ユーザーが求める利便性と音質の向上を目指していきますが、常にユーザーの声に耳を傾け、その声を反映するようなチューニングは継続しなければいけません。これは今回のリニューアルを経て、あらためて実感したことです。

 ただ、先にもお話ししたように、私たちのような制作側の人間は開発に熱が入るあまり、どうしても客観性を見失いがちです。「ここをこうすれば、きっと改善できるはず」とアイデアが浮かんでも、それが正解とは限りません。だからこそ、ユーザーの皆さんの声と自身の気づき、そしてUI/UXに詳しい方の知恵を合わせ、より正しく進化していきたいと考えています。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
モバイル活用の最新情報をお届け!D2C出張版連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

D2Cスマイル編集部(ディーツーシー スマイル ヘンシュウブ)

 株式会社D2Cが運営する、デジタルマーケティングの総合オピニオンサイトです。D2Cの多岐に渡る事業担当者の知見を元に情報発信を行っています。D2Cスマイルはこちら

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2018/06/27 15:44 https://markezine.jp/article/detail/28654

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング