ロクシタンが今後挑戦したい3つのこと
――最後に、今後のデジタルマーケティング全体の展望について、お聞かせください。
吉屋:大きく3つ考えています。1つは、アジャイルなデザイン思考で新しいことにチャレンジすることです。ブランドの化粧品キャンペーンは予算規模が大きくなりがちですが、デジタルの特性を活かしてスモールスタートなキャンペーンを行ってみたいですね。
すでに、メルカリさんやエブリーさんにて、ライブコマースには挑戦し始めていますが、小さなことでも何度かチャレンジをして、新しい発見・反応を次に活かすという文化を醸成していきたいです。
2つ目は、店舗・公式ECで購入いただくことへの強い印象付けです。その参考になりそうなのが、数年前に行った「デジタルプロヴァンス」というプロジェクトです。
――どのようなプロジェクトだったのですか?
安倍:当時、私が担当した企画です。店舗をデジタル化し、五感でプロヴァンスを体感いただくというイベントを行いました。美しさ・香り・デジタルのクリエイティブを連動した音楽・限定のカフェメニューなど、体験を組み合わせることでお客様の心に届くコンテンツを演出しました。
今後も、店舗体験にデジタルを取り入れながら、ロクシタンでの購入体験を印象づけられるような場所を作っていけたらと思います。
吉屋:最後に3つ目は、タッチポイントのコントロールです。今まではどうやってDMをe-mailに置き換えるか、という議論が多かったのですが、それとは真逆で複数のタッチポイントを連動させ、コミュニケーションを重ねていけたらと考えています。
Instagramのストーリーで限定製品を知り、LINEをフォローして購入。その後、メール会員に登録するといった行動が生まれるような、複数のタッチポイントで複合的にお客様とコミュニケーションが取れる環境を作りたいですね。
安倍:私は、ロケーションや気候を意識して、その日その時のニーズに応えられるようにしていきたいです。我々は、これを「Moment of Needs(モーメント オブ ニーズ)」と呼んでいます。
たとえば、寒くなるとハンドクリーム、温かくなるとUV製品と、気候によって注目されるアイテムは変わります。これらのニーズを参考に「カンカン照りの真夏日ならこのアイテム!」というようなコミュニケーションができると、よりお客様が必要なタイミングでのコミュニケーションになっていくと考えています。
そしてそれを、ソーシャルだけでなくメール、店舗と全方位で連動して発信できたらと思います。各チャネルがタイミングを合わせて発信することで、お客様が情報と接する機会を増やし、ブランド体験へとつなげていく。そうすれば、キャンペーン全体を最大化しつつ、我々のブランドを感じていただけるのではないかと期待しています。
