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ネットで話題になるとどうなる?担当者が語るビフォーアフター

「歩かなくていいお化け屋敷」を口コミだけで拡散させたZAUNTED、ネットで話題を生むポイントとは?

プランニング法は「大人に怒られる事」

――免責事項のような具体的な注意書きがかなり多いように見受けられますが、これまでに損害賠償をともなうようなトラブルやクレーマーが頻発したからなのでしょうか?

ヤマグチ:それはまったくございません。プロとしてまず優先するべきなのは、安全な恐怖空間を提供するということです。しかし、「この袋はかぶる物ではありません」といった些細なことでも、危機管理目的で細かく明記しておく必要はありますね。

 注意書き一つとっても、シリアスでありながら大げさ感やバカバカしさといったツッコミどころがあったり、色々な想像につながっていくのが、ホラーコンテンツ特有のバイラル効果です。たとえば、受付で失禁を防ぐために紙おむつを販売しているのも、実用性と話題性を狙っている仕掛けの一つです。

「ネグルシ」サイトで公開されている注意書き

――日本にはお化け屋敷をプロデュースする企業がいくつかあるようですが、御社の最大の強みはなんでしょうか?

ヤマグチ:他社様は企画のみですべての制作物を外注されていますので、クオリティやオリジナリティに掛ける予算が限られ、利益率が低くなりがちです。弊社では高価になりがちな特殊造形、美術セット、音声、映像ソフトをすべて自社製造しているので、オリジナリティやコストパフォーマンスという点で優れていると自負しています。

――今年の夏だけでも全国津々浦々でものすごい数のお化け屋敷が開催されていますが、お化け屋敷は現在ブームなのでしょうか?

ヤマグチ:脱出ゲームやなぞ解きブームの影響で、素人が料金を取りホラーイベントなどのアトラクションを開催するケースが増加しています。最近は消費の形態が「モノ消費」から「コト消費」へとシフトしていると言われていますが、はっきりと言えるのは、お化け屋敷自体がブームというよりも、「体験型」のコンテンツがブームだということです。

――MarkeZine読者に何か有益なアドバイスをいただけますか?

ヤマグチ:私自身がマーケティングに非常に興味が高く、ホラーをビジネスに活かせるように時折講演させていただいているのですが、毎回一言で伝えるプランニング法は「大人に怒られる事」です。

色々な意味で話題を呼んだ「婆医のハザード」

 以前手掛けた「婆医のハザード」というお化け屋敷は、「バイオハザード」のカプコン法務部様よりお困りのお電話をいただきました。法的に問題ない部分で、周りが「これ大丈夫か?」って、ザワついてくれる絶妙なセンスを磨いておく必要はあるのではないでしょうか。

 ネットで話題喚起するには、「住宅街の一軒家」「本物の廃墟」「実在の村」「世界最年少」「世界最高齢」「大型廃バス」など、口コミしたくなるような異質で明快なワードの選定が重要です。地方のそこにしかない資質(物件など)をそのまま活かし、その場所に行かなければできない体験でレア感を高め、皆さんに話題にしていただけるようにこれまでにない要素をフィーチャーします。

 ホラーはバイラルメディアだと常々言っておりますが、皆さんご存知の通り、怖い体験をした方は必ず周りに口コミしてくれます。口コミする前にも実は、怖い所へ行く事前の心理として色々検索してしまう習性があり、公式サイトのPVがアップしたりします。

 お化け屋敷コンテンツは、行けなかった人ほど脳内で想像を膨らまし、生き続けているのです。新たな都市伝説の一つにされるような状態です。

――どうもありがとうございました。

 ブームということもあってか、日本のあちこちで乱立するお化け屋敷。恐怖は伝染するとよく言われますが、ヤマグチ氏の言うようにバイラルメディアとホラー体験の相性は抜群のようです。

 読者に対するアドバイスとして、「大人に怒られる事」を挙げたヤマグチ氏。言い換えると、クレームや炎上覚悟でギリギリのラインを攻めきることができるかどうかということなのでしょう。その覚悟があるのも先駆者としての矜持なのかもしれません。「歩かなくていいお化け屋敷」の次はどういった切り口のお化け屋敷を提案してくれるのか、楽しみです。

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6PAC(シックスパック)

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MarkeZine(マーケジン)
2018/08/24 08:00 https://markezine.jp/article/detail/29081

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