メガネをECでも買いやすく
MarkeZine編集部(以下、MZ):今回は、インスタグラマーを活用してECのCVRを上昇させた事例について、JINSの浅井さんとレモネードの石橋さんにおうかがいします。まず、JINSの浅井さんから今回の施策を行うに至った背景について教えてください。
株式会社JINS デジタル事業部
浅井 良平氏
同社のSNSやEC領域を担当。EC領域に携わりながら、SNSは広告からアカウント運用まで全体をマネジメントしている。最近では、コンタクトレンズ事業の戦略策定、プロモーション、CRM、データ分析などまで立ち上げから携わっている。
浅井:ECでメガネを買いやすくしたいというのが大きな背景にあります。お客様の立場で考えたときに、メガネをネットで購入するというのはなかなかハードルが高いと思っています。
ハードルが高い要因には、購入までに至る決済フローやレンズの度数調整などもありますが、中でも大きな要因として、メガネをかけているイメージが湧きづらいお客様が多いのでは、という仮説を持ちました。
商品ページの画像をよく見ていただくとわかるのですが、モデルの画像にメガネの画像を合成しています。もちろん、できるだけ実物のイメージに近づけるためにVTOというバーチャルで自身がメガネをかけたイメージを体験できる機能を開発したり、限りなく自然になるよう加工したりしているとはいえ、限界がありました。
また、ECサイト上で得られる数値情報を見てみると、商品ページでの離脱が一定数見られていて、どうにかできないかと頭を悩ませていました。
MZ:ECサイトに来た方に、メガネをかけているイメージをより具体的に持ってもらいたいということですね。
浅井:そうですね。これまでの加工した画像だと正面を向いたものが多かったので、別アングルやファッションとして洋服とメガネの似合わせのイメージなどのシーン別の画像を用意していきたいと思っていました。
また、部署としてECサイトのチューニングをしていきたいとも思っていました。コンバージョン率(以下、CVR)を上げるため、これまでもSEOなど様々な施策を行ってきました。今回のインスタグラマー活用もその一環です。
着用イメージを具体化する
MZ:では、今回インスタグラマーを活用しようと思ったのはなぜですか。
浅井:JINSに入社する前、米国や東南アジアで仕事をしていたんですが、既に両国ではインフルエンサー、UGCの活用が進んでおり、その可能性は以前から感じていました。
実際、インスタグラマーと呼ばれるような方はファッションに対して感度も高く、一般のお客様が好む、おしゃれに着こなして映える画像を作るのに長けています。それはまさしく私たちが必要としていた「メガネをかけているイメージを具体化する」のにふさわしいと思っていました。
MZ:レモネードの石橋さんにお聞きしたいんですが、米国など海外におけるインフルエンサー、UGCの活用状況は進んでいるんでしょうか。
レモネード※株式会社 代表取締役 CEO
石橋 尚也氏
広告業界で働く全ての人の作業効率化をミッションとし、その一環として現在Instagramに特化したインフルエンサープラットフォーム「INFLUENCER ONE(インフルエンサーワン)」を提供している。
※2018年11月1日、UUUMに吸収合併されます。
石橋:米国では、UGCの活用というのは当たり前になっています。さらに近年はインフルエンサーの登場により、彼らの作ったコンテンツを使ってコンテンツの質を高めていこうという流れになっています。
UGCの場合、フォロワー数や投稿のエンゲージメント力の高さに関係なく、SNSユーザーのコンテンツを集めて利用するため、質が担保できないんです。一方インフルエンサーの場合は、フォロワーの多さやエンゲージメント力の高さからコンテンツの質も高いことが明らかで、特定領域のオピニオンリーダーであることがほとんどなので、インフルエンサーの活用に注目が集まっています。