イマドキ女子へのメッセージの届け方
ここであらためて、冒頭で紹介したイマドキ女子のインタビューに戻りたい。
実は、企業のスマートフォンでのコミュニケーションについて、「Twitterのアカウントは複数使い分け、企業のキャンペーンは普段使っていないアカウントでエントリーする」「広告は全然見ない」「データ通信量が気になる。フィードで勝手に動画が流れると嫌だ」「Cookieで追いかけられるのは嫌だ」という声が多数挙がっていた。一方で、「SHARPのような企業っぽくないアカウントがいい。botじゃなく人が動かしている感じが」というポジティブな声もあった。
彼女たちは想像以上に広告に対してシビアなようだ。また、SNSでのコミュニケーションを通して企業のメッセージを受け取ってもらうためには、届け方が非常に大事だと言えるだろう。
前章でイマドキ女子が特徴的に利用していると挙げたTwitterは「知人とのコミュニケーション」「知りたい情報を探すため」「新しい情報を得るため」に、Instagramは「時間つぶしにちょうどいい」「楽しいから」「新しい情報を得るため」に利用されている(図表3)。

※2(図表3内) i-SSPMediaProfilerライフスタイル、オフラインメディア利用、メディア利用意識等をデータベース化。毎年6月に実施、サンプルサイズ約2万。
要は、楽しみながら情報収集・発信をするコミュニケーションツールなのだ。
言わずもがな、彼女たちは広告を見るためにSNSを利用しているのではない。このことを再度肝に銘じ、世界観を壊さない、知人と共有できるような楽しめるコミュニケーションを企業は意識しなければならないと言えるだろう。
イマドキ女子を多面的に捉えたコミュニケーションを
イマドキ女子に楽しんでもらい心をつかむためには、図表4のような分析を行い、よりリアルにイマドキ女子の好みを理解していくことが有効だろう。

※3(図表4内) Psycho-GrapherTaste(志向、嗜好、感性)を、ビジュアルを含めデータベース化。志向・関心、感性(画像呈示)、ブランド、有名人・キャラクター等を聴取。毎年9月に実施、サンプルサイズ約5万。
「行動」と「価値観/判断基準」の間をつなぐ、「志向・嗜好・感性」をビジュアルを含め確認することで、“直観的”かつ“より具体的”なターゲットの理解に役立つと考えられる。
可能な限り行動をファクトデータでおさえることは大事だ。加えて、意識や価値観といったものも解釈して多面的に若者像を捉えることではじめて、特にこの時代のコミュニケーションは上手くいくのではないか。
しかし一度理解したからと安心はできない。たとえば、女子高校生のFacebookの月間利用率は16年の25.9%から下がり続け、18年には5.3%となっている。Instagramの利用率はさほど変わりないものの、1日あたりの利用時間は16年に5.4分だったものが18年には14.4分となっている。やはり若者は流行に敏感で変化を好むものなのだ。
今後も、ログ収集によって「今」を捉え続けつつ、意識・価値観といったアプローチを含めて、イマドキの若者を正確かつ多面的にとらえられるよう、注視していきたい。
▶調査レポート
「イマドキ女子のリアルをスマホ事情から探るーライフログデータが示す、メディアの未来#3」(Intage 知る gallery)