施策の肝になった「カスタマージャーニー作成」のポイント
セールスフローの見直しに際し、岡田氏が重視したのは「コールセンターからのアプローチで落ちてしまう人を拾い上げること」だった。これに対する具体的な施策が「見込み度合いに応じ、継続的にメールを活用してアプローチをする」というもの。これを可能にするMAツールとして選択したのが、マルケトだ。
マルケトでは、エンゲージメントを深めるための「エンゲージメントプログラム」が用意されている。これは、見込み顧客のエンゲージメント度合いによってメッセージを出し分けられる仕組みで、オーネットではこれが導入の決め手にもなった。
マルケト導入プロジェクトの中心メンバーとなったのは、岡田氏と開発部門のエンジニア、プログラマーの3人。具体的な施策の内容を導入前に詰めていたこと、メンバー全員で早い段階からマルケトの研修に参加したことで、「自分たちが使いやすい仕様にすることができた」と岡田氏は振り返る。
またシナリオ作成にあたっては、同社独自のジャーニーマップを作成した。このマップでは、通常のカスタマージャーニーに沿って、リードの意識や認識がどう変化していくかを表している。
「最終的なゴールは、無反応だったリードを『来店アポにつなげる』ことです。これに向けて、リードがどのタイミングでどんな気持ちになるのかを考えながら、一つひとつのフェーズのゴールを策定していきました」(岡田氏)
出来上がったカスタマージャーニーが上記図だ。コミュニケーションツールにはメールを活用し、各フェーズのゴールを設定した。「メールをきっかけに婚活意欲が再燃する」「メールを通じて楽天オーネットのメリットを感じる」というように、各フェーズのゴールを具体的に設定することで、伝えるべきメッセージが明確になった。
リードの状況に合わせて、パーソナライズドなメールを配信
次に、このカスタマージャーニーをマルケトのエンゲージメントプログラムに落とし込んだ概念図が下記である。
マルケト活用施策においては、顧客の状態をCold/Warm/Hotの三段階に分け、最後のHotで来店を促進することにした。マルケトでは、Web上での顧客行動をトラッキングできるため、Coldが「サイトに再訪した」というトリガーでWarmへ、Warmが「検討者がよく閲覧するページを訪問した」タイミングでHotリストへ、というようにエスカレーションさせることができる。施策としては、Coldリストには月1回のメール、Warmでは隔週のメール、Hotには毎週メールを送り、状態に合わせてメッセージを送る頻度に変化をつけた。
さらにエンゲージメントを高めるために、顧客それぞれの属性に応じてメッセージを出し分けた。20代女性と40代男性であれば、それぞれに応じてメッセージを出し分けないと、心に刺さらない。
たとえば、メールの件名を「27歳女性にマッチング」「40歳男性に」と送る相手によってパーソナライズし、画像も女性向けと男性向けで出し分けている。こうしてメッセージのパターンを細かく設定することで、婚活そのものへの興味・関心を高めている。