現場で起きていることのデータが実はない
長瀬氏によると、“現場”にあるデータが収集できなかったことが課題の一つだったという。たとえば店舗において、来店した人が何を考え、その結果どう行動したかをデータで捉えるのは難しかった。しかし、たとえば自動管理された無人店舗である「Amazon GO」であれば、かなりの顧客行動がデータでわかる。テクノロジーが進化すれば、それだけ把握できることも増えていくだろう。
LDHといえば、やはりライブだ。「ライブ会場でどんな人がどんなときに泣いたり叫んだりしているのか。そういう建前ではない本当の気持ちのデータを貯めたい」と長瀬氏は強調する。
「飲食店であっても、後でTwitterの反応を拾うのではなく、現場のどういうタイミングでどう思ったかを集めていきたい。店員とお客様とのインタラクションの部分です。それをデータ化できれば、分析もできるしダッシュボード化することもできるようになります。こういったことがこれからのデータドリブンの要になるかと思います」(長瀬氏)

「スマイルの数」がKPIに?
ではそういった現場の生のデータをどうやったら収集できるのだろうか。長瀬氏は「顔認証技術」が一つの解決策になるだろうと語る。「今も来場者の皆さんの顔を見ながら話しています。様子を窺って、敬語にしたほうがいいかなとか考えながら、この場でもPDCA回しているわけです。こういったことを、データを使ってもやるべきです」と長瀬氏。
長瀬氏の話す未来が実現すれば、将来的にはライブ中の「スマイルの数」がKPIになるかもしれない。「そうなれば演者や制作側も力が入りますよね。そういうデータの活用じゃないと世の中やビジネスのためにならないと考えはじめているのです」と長瀬氏は述べる。
顔認証技術に限らず、「(生活者が)そのときに何を思ったかを拾えることならなんでもやりたい。そういうアイデアは絶賛募集中で、こういう話をすると、ソリューションとなるテクノロジーを持っている企業さんがちゃんとやって来る」とも話す。
長瀬氏は、「パーソナライズとかではなく、リアルタイムでそのとき何が起きたのか、関係性をわからせるデータが重要になってくるでしょう」と締めくくった。