マーケティングの本質を見ることが重要
――先ほども少し話されていましたが、BtoBマーケターとしての「あるある」な悩みは何でしょうか?
高山:これは本当に「あるある」だと思いますが、多くのリードを獲得しても営業から「いらない」と言われるのは辛いですね。
あとは、「所属する部門やグループの名前がその人たちのタスクになってしまう」という課題があると思います。たとえば、ある会社に「イベントマーケティング部」という部門があり、そこに属している人たちのミッションが「イベントを運営すること」になってしまうなどです。イベントを多く開催しても、結局、本来営業がアプローチしたいターゲットとなる企業のリードが手元にないという事態が起きてしまうことがあります。「自分の仕事はイベントでリードを獲得すること」という視野の狭い考えに陥ってしまうのは意外と「あるある」なのかもしれません。
ABM(アカウントベースドマーケティング)ではありませんが、ターゲットを精査していくと、「100人の単なるリードよりも、ターゲット企業で意思決定に関わるような10人のリードが獲得できれば良い」という結論に至ることもあります。そうなれば、あとはいかにその10人を呼び込むかを、イベントマーケティング部で考えていけばいいですよね。
社外にある情報にも目を向けていく
――今後目標とされていることは何でしょうか?
高山:この業界では、「ITサービスには既存ビジネスの安定継続を目的とした『モード1』と事業変革や差異化を目的とした『モード2』の2種類の領域がある」と言われますが、弊社でも、この話で例えることが多いです。
「モード1」は、安定運用のために絶対に守らなければならない領域、つまりWebの基盤にあたるシステムを指します。そして「モード2」は、新しい領域をMAツールを使ったアイデアで攻めていくようなことです。この両輪を上手く回して売り上げに貢献していくという考え方ですね。
現在個人として携わっている業務は、「モード1」が比重としては大きいのですが、今後はもう少し「モード2」の攻める部分を多くしていきたいなと思います。ただ、そのためには当然チームワークが大切です。チーム全体としてのスキルの伝搬や底上げも目標として掲げています。
――最後に、他のBtoBマーケターの方々に向けたメッセージをお願いします。
高山:私は、これまで色々な経験をさせてもらって、現在のBtoBマーケターという立場にあります。BtoBマーケターとしてリードを追うことは重要なのですが、他の分野や領域にも携わると、よりマーケティング全体の知見が広がるのではないでしょうか。営業が望んでいるものをしっかりと理解していくためにも、全体を俯瞰で見るような経験は必要かなと思います。
あとは、なるべく外にも足を運ぶことをお薦めします。つい先日ですが、製品をとても高く評価していただいているお客様を訪問した際に、「Webサイトで打ち出している製品のメッセージと、お客様が感じられている製品の価値が噛み合っていない」とお話を聞く中で気づかせていただくことがありました。マーケティング活動全体を通して発信しているメッセージが一貫しているか、正しく伝わっているかを知るためにも、社外に出て情報に触れていくことは重要です。
――どうもありがとうございました。