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イベントレポート

「これまでのファネルにはヒビが入っている」/HubSpotのCMOが語った国内マーケターの現在地

目指すのは、企業にとっての「最初のCRM」

 会見の最後には、同社セールスディレクターを務める伊田聡輔氏が登場。今後の事業展開について、考えを明らかにした。

ハブスポット株式会社 共同事業責任者兼セールス ディレクター
伊田聡輔氏

 「今後は、『HubSpot』最大の魅力でもある無償CRMをさらに広めていきたいと考えています。弊社のメインターゲットである中小や中堅、スタートアップ企業においては、現状ベストと胸を張って言えるソリューションがあまりないと感じています。そのため、エクセルを使った顧客管理をされている企業がほとんどではないでしょうか。

 我々が目指すのは、そういった企業にとっての『最初のCRM』となること。そして、それを継続して使っていただくことです。ゆくゆくは『Marketing Hub』などの各ツールもご利用いただきたいと思います」

 ツールの計測タグがサイトにどれだけ入っているかを計ることができる「Datanyze(データナイズ)」によると、同社が提供するツールのタグが計測されているサイトのドメイン数は701(2018年10月11日時点)。伊田氏は、現在27人となっている日本担当のスタッフを2019年末を目処に40人にまで増員する予定であることを明かし、国内のシェア率向上に意欲を覗かせた。

 また、マーケティングパートナー企業(2018年9月末までで47社)の拡大も視野に入れていると述べた伊田氏。既に提携を結んでいる「kintone」や「Sansan」などにおいて、EC関連企業との連携の検証も行っていくそうだ。

CMOが見た日本市場の課題と期待感

ここからはHubSpot, Inc. CMOのキップ・ボドナー氏への単独インタビューを
一問一答形式でご紹介。

キップ・ボドナー(Kipp Bodnar)

HubSpot, Inc. CMO。200にものぼるグローバルのマーケティングチームを総括。MAやコンテンツマーケティング、ブランドマーケティングに携わり、国ごとのマーケティングも管轄している。

――今回の記者会見には、御社としてどういったメッセージを持って臨んだのでしょうか?

 2つあります。1つは、成長プラットフォームとして新しくなった「HubSpot」の魅力を日本の皆さまに伝えること。そして2つ目は、少し大きな視点になりますが、「日本の企業がこれからどう成長していくべきか」を伝えることです。

 会見でも触れましたが、これまでの日本企業の多くは顧客の満足度を追求するあまり、そこに過剰な労力を割いていました。また、売り上げや利益に対する考え方も、短期的な目標を見据えたものが多い印象がありました。そのため、今回は特に「顧客視点に立てば、もっと効率的な成長ができる」というメッセージを持って記者会見を行いました。

――2年間、日本市場で事業を展開する中で感じられた成果と課題を教えてください。

 「HubSpot」を通して、セールスやサービスの領域に変化をもたらすことができたのは大きな成果と言えます。これまで、日本ではある種スパムともとれるような、企業都合のセールスが多く散見されていました。それが近年では、「コンテンツとして価値あるものを届ける」「顧客の課題を解決する」というように目的が変わってきたように思います。

 一方で、様々な技術が分散され、まだうまく統合がされていないという課題があります。我々にとって日本は非常に重要な市場ですし、現場のマーケターたちからは、働き方の改善・変化に対する高い意欲を感じます。マーケティングにおける変革の波が日本にも訪れれば、一気に技術の統合などが進んでいく期待感はありますね。

――日本のマーケターに対してはどういった印象を持っていますか?

 マーケターの発言力があまりないと感じました。これは、社内外問わずです。もっとセールスと連携し、売り上げや利益に対しての貢献度を示していくことができれば、発言力が増していくのではないかと考えています。

――彼らのスキル面での特長を挙げるとすれば何でしょうか?

 これまで私が見てきた限りでは、日本のマーケターの方々は分析能力や仕組みを構築する能力に長けていると思います。これはグローバルも含めたマーケター全体に言えることですが、よりストーリーテリングでのスキルが研鑽されていけば、競合との違いを生むことができるのではないでしょうか。

――では、グローバルな視点で見たときの、インバウンドマーケティングにおける共通のボトルネックは何でしょうか?

 1つは、正しい戦略が立てられていないケースが多いということ。ターゲットが誰なのかというペルソナの設定や、「そもそも顧客はどういった課題を抱えているのか」というニーズの発掘が十分にされていません。そういった点がボトルネックになってしまいます。

 2つ目はマーケターが多くの時間をソフトウェアに割いている点。データの移行や統合ばかりをしていて、実際のマーケティング施策の立案などに頭が回っていない状況をよく目にします。

――最後に、今後の展望をお聞かせください。

 スタートアップ企業を中心に、より企業の成長を加速させていきたいと思っています。また、日本におけるマーケティングパートナーにおいては、100社以上を目標とし、今後も事業を拡大していきます。

――ありがとうございました。

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この記事の著者

富安 純人(編集部)(トミヤス スミト)

MarkeZine編集部
上智大学ポルトガル語学科卒業後、新卒で翔泳社に入社。プライベートではサッカーブログを運営し、週末は寝る間も惜しんでサッカーを観る欧州サッカーオタク。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/11/07 08:00 https://markezine.jp/article/detail/29418

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