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クロスメディア活用で広告を届ける

テレビの効果は若年層にも健在

 広告を届けるためには、広告の質と量が適切であるかを考える必要があります。

 人の印象に残るためには、視覚のみならず聴覚に訴えることも重要です。テレビCMではCMソングやキャッチコピーなど、音で生活者にアプローチすることで商品を覚えてもらえる効果があります。古典的な手法ではありますが、商品名をリズムに乗せて訴求できる点はテレビCMならではの特長であるといえます。

 一方、量の側面では、広告が届いている(リーチ)ことも大事ですが、ある程度の回数(有効フリークエンシー)を確保することも必要です。テレビCMの世界では有効フリークエンシーの「3ヒット理論」と呼ばれるものがあり、3回接触を担保することが重視されています。

 図表2は、とあるキャンペーンの広告接触リーチです。3回接触をリーチとする集計で作成しています。

図表2 2018年7月放映のとあるテレビCMに3回以上接触した状況
図表2 2018年7月放映のとあるテレビCMに3回以上接触した状況

 男女50代・60代とも70%を超えるリーチがあり、年齢が高い層でのテレビのリーチ効果はやはり大きいという結果になりました。一方、男女とも20代で約40%、30代で約50%のリーチが確保できており、若年層でも実は大きなリーチ効果があることがわかります。

 また、20代男性や30代女性においては、タイムシフト視聴を加えることでリーチが5ポイント以上伸びており、タイムシフト視聴も含めて評価をすることで、正確なリーチが評価できるという点にも留意が必要です。

 最近ではテレビCMでスマートフォンのゲームアプリの広告を目にすることもよくあるかと思います。商材やクリエイティブの訴求を見る限り、広告キャンペーンのターゲット層としては、若年層を狙ったものであることは間違いありません。スマートフォンアプリに広告を出した場合、クリックするとAndroidであれば「GooglePlayストア」へ、iOSであれば「AppStore」へ誘導されるので、成果を獲得する意味では効率が良いでしょう。

 対してテレビCMでの接触では、認知してスマートフォンを取り出し、自分でアプリを検索してインストールするという長い導線を経ないといけません。それでもテレビCMを出稿するのは、Web広告のみではリーチしきれない層が存在しているからです。そこに対してテレビCMではリーチでき、費用対効果が見合っているのでしょう。

 こうしてみると若年層向けのキャンペーンにおいても、テレビCMは若年層ターゲットにおいても依然大きな力をもっているといえます。

Web広告でリーチを確保するには

 しかし、テレビのリーチ力が高いとはいっても、先ほどの例では若年層でのリーチは40~50%にとどまりました。若年層へのリーチをさらに高めるためには、やはり冒頭で見たように接触時間の長いWebメディアを活用することが必須となります。

 ただし、Webメディアはアプリやサービスが数多くあり、利用が分散します。Web広告のフォーマットでは、Webブラウザに配信される広告とスマートフォンアプリ内に配信される広告の2種類に大別されますが、弊社にてWebブラウザ広告のリーチ計測を行っている実績から申しますと、どんなにリーチ力の高い媒体でも全世代合計で30%程度のリーチ水準となります。Webメディアで広告を届けるためには工夫が必要なのです。

 ここで、20代女性で2018年7月にどのアプリがどの程度利用されたかを見てみましょう(図表3)。

図表3 20代女性のスマートフォンアプリ利用状況の一部(2018年7月)
図表3 20代女性のスマートフォンアプリ利用状況の一部(2018年7月)

 20代の女性が使っているアプリの状況から、どこに広告を配信すればよいかが見えてきます。

 LINE、TwitterといったSNSが日に30分以上の接触があります。Instagramも人気で、Facebookより利用率・利用時間ともに勝っていることがわかります。若年層に対してはSNSでの広告出稿が有効であることは多くの方が認めるところではありますが、このデータもそれを裏付けています。

 ただし、利用率はTwitterで58%、Instagramで42%とそれ以上にリーチはできないという意味で、限界も同時に示しています。ターゲットが利用しているアプリを調べたうえで、いくつか組み合わせてプランニングをすることが求められるといえます。

 また、知人からのメッセージや知人の近況確認、情報収集を目的としたSNS閲覧の中で広告に振り向いてもらうためには、機会を活かす工夫も必要になってきます。クリエイティブの工夫やA/Bテストなどを通した最適化などの運用は必要不可欠となります。

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クロスメディアでのプランニングと効果検証

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この記事の著者

中里 隆之(ナカザト タカユキ)

株式会社インテージ Life Log Data事業本部 クロスメディア情報部
インターネット広告代理店にて、広告運用コンサルタントとして従事。多くの企業のデジタルマーケティング施策の立案・遂行に尽力した後、2013年にインテージ入社。シングルソースパネル(i-SSP)の商品開発/品質管理を担う。主にテレビCM・デジタル広告の...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/02/27 15:39 https://markezine.jp/article/detail/29454

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