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統括編集長インタビュー

「ZARA、Amazonを抜きたい」 ストライプインターナショナルが描く独自プラットフォーム戦略

アリババとの協業により中国で“R&D”進める

押久保:では、今年5月に発表されたアリババとの協業についてうかがいます。どういった構想があるのでしょうか?

石川:アリババと組んで日本で何をするのか、とよく聞かれるのですが、まず日本では何もできません。僕らはただ双方の行き来を促すだけのオムニチャネルではなく、本気でリテールとECをつなげようとしていますが、そのためにたとえば店内にセンサーを置いてIDを把握するにも、日本は規制が厳しく実験もできないのが現状です。だから、中国でやる。ある意味、中国がR&Dの場なんです。

押久保:なるほど、そういう発想なんですね。そこでオペレーションを確立すれば、他国でも、規制が緩和したら日本でも一気に始められる。

石川:そういうことです。具体的には、前日に「T-mall」でジーンズをたくさん閲覧していた人が来店したら、その瞬間にIDを判別して、店内スタッフのタブレットに閲覧済みの商品がずらっと出てくる。それを踏まえて、デニムコーナーへ案内したり適切に商品を勧めたりといったことができます。

 そう聞くと違和感があると思いますが、中国は多分それが普通の社会になるでしょうね。さらに、出店戦略も人口と購買状況や利益率によって効率的に立てられるので、それも蓄積しておけば、日本で規制緩和したタイミングで僕らはECと完全に接続したリテールを徹底的に展開できると思います。

経済成長と地域貢献の両立を哲学に

押久保:お話をうかがうほど、発想の振り幅に驚かされます。石川さんの講演で、小規模で大量出店の路線を走っていたところユニクロの柳井さんに「経済は規模だ!」と強く意見され、お風呂で2時間考えた……というエピソードが印象的でしたが、よくお風呂で考え事をするんですか?

石川:あのときは、最初はムシャクシャしていましたが、1時間くらい湯船でいい気分になって「規模もあるかもしれないな~」と(笑)。たしかに2020年に2,000億円を目指す上では、1店舗1億円で刻んでもこれまでのスピード感で成長しないので、それで1店で10億円売れるブランドとして「koe」を立ち上げました。

 考えるのは、風呂か、移動中が多いですね。僕は追い込まれるほうがいいので、京都までの2時間半、とかが集中できます。いちばんいいのはヨーロッパ線ですね。移動やお風呂の時間ってぼーっとしがちですが、そのもったいない時間を利益に変えるのが好きなんです。仕事が趣味なので、あまりリラックスする時間がほしいとは思わないですね。目の色を変えてゲームに没頭している子どもと同じです。

押久保:ゲームの没頭とは、全然スケールが違う気がしますが(笑)。仕事における信条は?

石川:過酷な環境をみずから選ぶこと、でしょうか。起業してから、右がラクだといわれたら左にも行かず下に下がる、みたいな気質でやってきました。そのほうが、周囲が「ワオ!」と驚いたり喜んだりする。それが好きなのかもしれないです。よくわからないことをやると、勉強になるし人脈もできて、結果的に本業へもプラスになります。

押久保:柔軟な発想の根底にある姿勢を、垣間見せていただきました。最後に、今後どんな価値を提供していきたいか、うかがえますか?

石川:商品やサービスで顧客に直接ソリューションを提供するとともに、事業で得た利益を間接的に地域貢献や社会貢献へつなげていきます。2014年、僕の故郷であり本社を置いている岡山に公益財団法人石川文化振興財団という団体を設立して、地域の文化活動を支援したり、ほかにも大学と組んだりローカルのベンチャーを支援する仕組みをつくったりしています。

 経済成長と地域貢献の両立は、当社の哲学ですね。また事業的な観点からの理想は、SPAではZARAを超え、プラットフォーマーとしてはAmazonを抜きたい。もちろん、現時点で大きな差はありますが意識して追いかけていく中で、僕らはさらに独自の価値を生み出せると思っています。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/11/05 12:00 https://markezine.jp/article/detail/29516

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