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SNS起点で生まれるマーケティングトレンド

ユーザー爆増中のTikTok、企業はどう使うのが正解? 成功のカギはYouTuberとUGC


TikTok活用に成功した企業プロモ事例

 では、先述の特徴をしっかりと踏まえ、TikTokを活用して成功した最新の企業プロモーション事例にはどのようなものがあるのでしょうか。本記事では「#今日好きダンス」と「#わっしょいジャパン」を紹介します。

「AbemaTV 今日、好きになりました。」の「#今日好きダンス」

 10代の若者の恋愛リアリティショーである同番組の出演者や主題歌を担当するアーティスト足立佳奈さんがTikTok とInstagramに動画を投稿したことから人気が広がりました。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

今日好き@AbemaTVさん(@kyousuki_official)がシェアした投稿 -


出典:今日好き@AbemaTVの公式Instagramアカウントより

「サントリー ペプシJコーラ」の「#わっしょいジャパン」

 TikTokのフォーマットを使い、CMに出演している有名タレントや人気YouTuberがリレー形式でYouTubeをメインに12本の動画を展開。その結果、総再生回数が1527万回以上になるなど、SNSを通して大きく話題化しました。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

tiktokさん(@tiktok_japan)がシェアした投稿 -


 出典:TikTokの公式Instagramアカウントより

 これらの事例における各SNSでのエンゲージメント数を分析すると図のような数値となり、相当な量であることがわかります。また、ユーザーによる投稿数はTwitterが圧倒的なのに対し、エンゲージメントするのはInstagramという一定の傾向も読み取れました。

 

出典:株式会社スパイスボックス自社ツール「THINK」集計。数値は推計も含む(調査期間:2018/4/11~2018/9/30)
出典:株式会社スパイスボックス自社ツール「THINK」集計。数値は推計も含む(調査期間:2018/4/11~2018/9/30)

 この2つの事例に共通して言えることは、施策をTikTok内だけに閉じず、TwitterやInstagramなど複数のSNSを同時活用して情報を大きく広げている点です。

 TikTokユーザーも日々目的に合わせて様々なSNSを使い分けています。TikTok内だけで出会えるティーンユーザーに支持される仕掛けは担保しつつも、狙いたいターゲットが使用する各SNSで影響力を持つインフルエンサーを起用するなど、ハイブリッドなコミュニケーション設計をすることが重要だと考えられます。

 前述のTikTokそのものの特徴も踏まえつつ、これらの事例の成功ポイントは以下の5つにまとめられます。

【TikTok活用事例に学ぶ、5つのポイント】

 ・手軽に盛れる

 ・手軽に真似できるダンス動画

 ・(人気番組、人気商品のハッシュタグエコノミーに参加することで)手軽に有名になれる

 可能性

 ・タレントやYouTuber、Instagramerなどのインフルエンサーの起用

 ・(その結果として)TikTok以外のSNSでの情報発信、エンゲージメント量が多い

 現状、TikTokで企業がプロモーション施策を戦略的に成功させるには、最低限上記の5ポイントを押さえることが必須と言えそうです。

今後のTikTok施策成功のカギは、YouTuberとUGC

 最後にこれまでの考察を踏まえ、今後TikTok施策を企画する上で私が考慮すべきと考える点についてお伝えしたいと思います。

 最近TikTok自身が広告を集中投下していることでもわかる通り、同じ動画SNSのYouTubeはTikTokと非常に相性の良いプラットフォームです。実際にスパイスボックスの「THINK」で分析すると、2018年9月の1ヵ月間だけでもYouTube上でTikTok関連コンテンツが約14万エンゲージメントを獲得しています。

 シンプルに「TikTokで流行っている動画を試してみた」というYouTuberの投稿も多く、彼らの存在が最近のTikTokのエンゲージメント総量を押し上げる流れになっています。中でも特にエンゲージメントしていたのは、自身で作曲を手がけるアーティスト系YouTuberが「自分の音源が使われていることを紹介する動画」や、実況系YouTuberが「TikTokを見ながらイジる動画」でした。


※:出典【絶望】TikTokで自分たちの歌が使われている件についてwwwww
  まふまふちゃんねる(マルチクリエイター)より
(エンゲージメント数:61,123)

 TikTokは「楽曲×動画」フォーマットのため、上記の結果も踏まえて考えると、特にアーティスト系YouTuberと相性が良さそうです。彼らには多くのコアファンも付いているため、エンゲージメント視点で実績のあるYouTuberを施策にキャスティングすることは一つの有効なアプローチと言えます。

 また、何度も言及している通り、TikTokには「真似する文化」が存在します。そのため、TikTokユーザーのインサイトを上手く捉えられれば、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を量産するプロモーションを展開することが可能なはずです。最近は特に若者ほど作り込まれたブランデッドコンテンツよりも、リアリティのあるUGCを好む傾向があります。「UGCを使ってオーガニックで情報を大きく広げる」、「UGCを広告活用する」などの手法もTikTok施策の戦略設計時には考慮すべきと考えます。

 TikTokはポイントを押さえて上手く活用すれば、若年層に対する有効なエンゲージメント・コミュニケーション(ソーシャルメディアを使った認知、好意形成)手法となっていきそうです。企業によるTikTok活用事例はまだまだ少数ですが、今後増大していくことは確実でしょう。この新しいソーシャルプラットフォームが企業コミュニケーションにも有効に活用されていくことを期待したいと思います。

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この記事の著者

森竹 アル(モリタケ アル)

 スパイスボックス 取締役副社長 事業統括責任者。2006年にスパイスボックス入社。プロデューサーとして大手自動車メーカー、食品メーカー、ゲーム会社等のデジタルマーケティングを支援。2013年、プロデュース局局長就任。すべてのクライアントワークを統括。2016年以降は、ソーシャルメディアを中心に「共感」と「話題」を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/02/19 20:25 https://markezine.jp/article/detail/29625

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