加速する「ソーシャルメディアの店舗化」
ソーシャルメディアが購買意思決定に与える影響は若い世代ほど大きくなるようだ。Retail Diveのレポートによると、Z世代の80%以上、ミレニアル世代の74%が購買意思決定にソーシャルメディアが影響すると回答。一方、X世代では58%、団塊の世代では41%にとどまる。
Z世代が最も影響を受けるソーシャルメディアはInstagram(44%)。次いでYouTube(32%)とSnapChat(21%)の影響力が大きい。ミレニアル世代では、Instagramが21%、YouTubeが22%、SnapChatが11%と、Z世代とは少し異なる割合となっているが、Z世代、ミレニアル世代ともにInstagramの影響力が大きいことがうかがえる。
Instagramはこの潜在ニーズを満たすべく、いくつかの施策を試みている。JWT(ジェイ・ウォルター・トンプソン)によると、Instagramは2016年に初めて購入機能を試験的に導入し、大きな成功を収めたという。その後2018年5月にはアプリ内支払いオプションを導入。これはInstagram上で利用者がクレジットカードを登録することで、商品の直接的な購入を可能とするものだ。現在はまだ商品購入はできないようだが、EC機能を本格展開するための強力な布石とみられている。
また2018年6月には、Instagramの人気機能「ストーリー」に購入機能を試験的に導入。Instagramによると、ストーリーの購入機能は46ヵ国で利用可能という。ストーリーは1日あたり4億人以上が利用する機能。利用者数は2017年の2億5,000万人から大幅に増えている。また別の機能「エクスプローラー」にも購入機能が追加される予定だ。

さらにThe Vergeが2018年9月4日に情報筋の話として伝えたところでは、Instagramはショッピングに特化したスタンドアローンアプリを開発しており、今後ローンチされる可能性があるという。アプリの名称は「IG Shopping」と憶測されている。このアプリでは、利用者がブランドをフォローし、その商品ページをブラウズ、気に入ったものがあればそこから直接購入できるというもの。一部ではローンチされない可能性も噂されているが、開発が進められているのは間違いないという。
一方、Z世代から絶大な人気を集めるSnapChatは2018年4月、同アプリの人気機能レンズに「Shoppable AR」と呼ばれる新たな機能を追加。この新機能には「website」「video」「install」の3つのオプションがある。websiteは、利用者がクリックするとブランドのプロモーション・商品ページが開き、videoはトレイラー動画やハウツー動画などが視聴できる。installはアプリをインストールまたはオープンする機能だ。また2018年9月末には、SnapChatからAmazonの商品を直接検索できる機能を試験的に導入することを発表し注目を集めている。

Facebookも2018年7月に、ARを使った広告機能を試験的に導入することを発表。米国でその効果を測定する計画だ。Facebookは2016年にARフィルターアプリMSQRDを買収しており、その技術が活用されている。サングラスなどのファッションアクセサリーだけでなく、コスメや家具などもAR広告の対象になるという。