世界に先駆けライブコマースが発展する中国
Instagram、SnapChat、Facebookなど米国発のソーシャルメディアに注目が集まる一方、中国でも興味深い進化が起こっている。中国では、ソーシャルメディアのライブストリーム機能を活用した「ライブコマース」が大きな発展を見せているのだ。
iResearchの調査によると、中国のライブストリーム市場は2016年に売上ベースで208億元(約3,400億円)に達し、前年比180%増となる爆発的な成長を見せた。また2017年は432億元(約7,100億円)と100%以上増加し、さらに2019年には873億元(約1兆4,340億円)に達する見込みだ。
ライブストリーム市場の活況とともに、多くのプラットフォームが登場し、その数は100を超えたともいわれている。代表的なものには、アリババが2016年にローンチした「Taobao Live」の他「JD Live」「Yizhibo」などがある。

これらのアプリではライブストリームの中にTaobaoやTモールのリンクを紐付けることができ、視聴者の消費を促すことが可能だ。
こうした収益を得ることができるインフラが整備されるにともない日本でいうユーチューバーのようなネットセレブ(網紅=ワンホン)が2016年頃から急増したといわれている。特に人気のジャンルは女性向けファッションで、情報発信側、視聴者ともに10〜20代の女性が圧倒的に多いようだ。アリババ傘下のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)紙が伝えたところでは、Taobao Liveの視聴者の80%が女性で、そのうち半分がZ世代という。
中国では企業でなくインフルエンサーが発信する情報が信用される傾向が強いといわれている。また、ライブでの双方向のやりとりの中で商品の詳細を知ることができることもライブコマースが伸びる理由となっているようだ。
さらに、ファッションインフルエンサー専門のインキュベーターが登場したこともライブコマースが成長する大きな要因になっている。Technodeによると、そうしたインキュベーターはインフルエンサーの発掘から、タオバオショップのマネジメント、コンテンツ作成支援、ファンマネジメント、カスタマーサービス支援などを提供し、インフルエンサーがファンとのインタラクションに集中できる環境を作り出しているという。
SCMPによると、2017年11月にモバイル経由のライブストリーム視聴者は1億4,100万人だったが、2018年3月には約1億人に減少し、ピークを過ぎた可能性が指摘されているが、インフラ整備がさらに進むことが予想されており、市場の活況は今後も続くとみられている。
米国と中国で独自に発展するソーシャルメディアとEコマースの融合。それぞれどのように進化していくのか、今後の動向から目が離せない。