電子チラシが選ばれる理由
そもそも電子チラシが閲覧される理由はなんだろうか。電子チラシ閲覧者全体と、電子チラシ利用頻度別(ヘビー層=DAU、ミドル層=WAU、ライト層=それ以下の頻度)に分けてみた結果が図表4だ。

ベース:電子チラシ閲覧者(n=704)/複数回答
電子チラシ閲覧者全体では、「様々な店舗のチラシが見られるから」という理由が最多で、他の理由とくらべ30ポイント近くスコアが高い。利用頻度別に見ると、ヘビー層は「様々な店舗のチラシが見られる」「様々な店舗のチラシを比較しやすい」「ポイントやお得なクーポンがもらえる」が、他の層に比べて高い。「比較しやすい」については、使えば使うほど電子チラシサービスの使い勝手を熟知してくるだろうから腑に落ちる結果ではないだろうか。また、「ポイントやクーポンがもらえる」については、紙媒体チラシの代替品ではなく、チラシ+αの価値を感じられていると推測できる。一方、ミドル層やライト層では「折り込みチラシが入手できない」という理由が比較的高くなっていることから、電子チラシは“紙のチラシの代替品”というポジションに位置していると推測できる。
チラシを見て、買う店を変えることはあるか?
先ほどの結果で、スーパーのチラシは、紙媒体・電子ともによく見られていたが、チラシは生活者の意識にどの程度影響を与えているのだろうか。チラシを見て、買い物場所を“行きつけのスーパー”から“チラシで見たスーパー”に切り替えることがあるかを聴取した(図表5)。

ベース:スーパーの紙媒体チラシで買い物に至った人(n=351)、スーパーの電子チラシで買い物至った人(n=541)/単一回答
「よくある」または「ときどきある」と回答した人は、紙媒体で64%、電子で75%であり、店舗選択への影響度は電子チラシのほうがやや高い。ここでも、生活者が能動的に情報を取りにいく電子チラシの特性が背景としてありそうだ。“行きつけのスーパー”=“毎回行きたいスーパー”というわけではなく、複数のスーパーを使い分けている生活者の状況も確認できた。ちなみに、スーパーの電子チラシを使って良かったことやオススメの使い方を聴取したところ「特売情報を確認できる」「前日から情報を得られる」「クーポンがついている」「ゴミが出ない」といった声が多く挙げられた。
今回はインターネットでの定量調査であり、ファネル分析を用いた購買データはないため、市場の実態との若干の乖離を考慮しなくてはならない。その上で、現状としては普段の生活で3人に1人が電子チラシを見ているということがわかった。そして、紙媒体チラシと電子チラシは今後増減すると思うか予想してもらった設問では、紙媒体が「増加する」3%、「変わらない」65%、「減少する」32%に対し、電子チラシは「増加する」52%、「変わらない」45%、「減少する」3%という結果だった(図表6)。

ベース:一般対象者(n=521)/単一回答
このように多くの生活者が、電子チラシの増加を予想している。ただし繰り返しになるが、電子チラシは自ら選んで閲覧する性質が強いため、生活者が興味関心を持つ広告にしか接触しない可能性が高い。しかし今後、電子チラシが世の中に増えることになれば、生活者は必要情報を取り出す作業が難しくなっていくだろう。ターゲット層が電子チラシに目を向け、広告媒体としての価値を高めていくためには、紙媒体のチラシの代替品としてだけではなく、電子チラシならではの“+αの付加価値”が不可欠であろう。
■調査概要
調査主体:マクロミル・翔泳社(共同調査)
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:対象1:一般(全国20歳以上の男女)、対象2:電子チラシ閲覧者(電子チラシを年1回以上閲覧)/いずれもマクロミルモニタ会員
割付条件:対象1:平成27年国勢調査による性世代ごとの人口動態割付、対象2:事前調査における電子チラシ年1回以上の閲覧者比率に基づき性年代で割付
サンプル数:対象1:521サンプル、対象2:521サンプル
調査期間:2018年9月13日~2018年9月15日
・本文の数値は四捨五入した整数で表記。
・百分率表示は四捨五入のため丸め計算を行っており、合計が100%とならない場合がある。
▼調査レポート
『紙のチラシと電子チラシ、影響力が強いのは?利用状況や意識を調査』(HoNote)