クリエイティブにBtoBらしさはいらない
西井:どうやら、おぎやはぎさんのキャスティングにも理由があるんですよね。
三浦:今回の動画のゴールは、「b→dash、最近良く見るね」と「b→dashっていいよね」という認知およびイメージを得ることでした。ターゲットはマーケターです。一般の方々より“目が肥えている”方が多いので、中途半端なことをしたら逆に印象が悪くなると感じていました。そのため、内容にはとにかくこだわり、約6ヶ月間クリエイターさんと議論して生まれたのが今のクリエイティブです。
「マーケターなら誰もが感じるであろう”あるあるな問題“」をテーマとし、リアリティとユーモアのバランスを心がけました。そのバランスを絶妙に表現してくれるのは、元サラリーマンという経歴とお笑い芸人としての実績も申し分ないおぎやはぎさんしかいない、ということでオファーを出しました。
細かい工夫ですが、最初に“匍匐前進”や“結婚式”といったインパクトあるシーンを入れ、“映像の画質”、“決め言葉の開発”など動画として押さえなければならないポイントも考えつく限り、全て入れ込みました。その甲斐もあってか、スキップせずに最後まで見てもらえるストーリーになり、おかげで半年ほど配信していても、YoutubeのTrueViewの完全視聴率が40~45%と、平均より高い結果が残せています。素晴らしいCMを作りあげていただいたクリエイティブチームの方々には感謝しかありません。
西井:動画の中に出てくる「マーケターあるある」もネガティブな感じがそこまでしなくて良いですよね。クスっと笑えて、誰も傷つかないクリエイティブ。良い意味で、BtoBの広告らしさがないと感じました。
三浦:見るのは人ですから、「人の心を動かす」という視点で見れば、BtoBとBtoCの違いは一切ありません。コミュニケーションゴールを設計し、それに最適なクリエイティブを作るだけです。また、私自身が今回のプロモーションのターゲットである「マーケター」です。私が良いなと思えば、同じ職種の人も共感してくれるだろうという自信がありましたので、今回は自分と対話し、納得感を大切にしながら進めていきました。
新クリエイティブを続々投下、認知を蓄積
西井:現在4本の動画が公開されていますが、はじめに2パターンを配信して、次に1本ずつシリーズ化したのにも、理由があったのですか?
三浦:フリークエンシーを考えた結果ですね。よくある失敗として、良いCMを作っても打ち上げ花火のように1本だけ単発で実施しただけでは、認知やブランド資産が貯まりません。ある程度、すでに認知やブランド資産がある場合はいいですが、我々の場合はそうではありませんでした。
連続的に新しいクリエイティブを投下することができれば、“飽き”も生まれません。ターゲットにリーチする“理由”ができ、継続したコミュニケーションが可能になります。そのため、コストをかけてでも4本制作し、約1ヵ月ごとに新しく配信していく方法を採用しました。
今回、Facebookなどのデジタル広告とタクシーの車内広告、交通広告に出稿し、広報活動も重ねることで、常に接点を作り続けました。すると、実施していない「テレビで見た」という声を聞くほど、動画の認知が高まっていたんです。