各プラットフォームを横断したデータの整備が必要に
佐藤:今後、各プラットフォーム間のデータを結合していくことが大きなテーマとなっていくと思いますが、データを結合していった先には機械学習を活用して、また新たなサービスが生まれていくことになります。

佐藤:広告に関するデータだけでなく、オフラインの購買データや経営に関する様々なデータが結合していくと、Googleが担う領域は広告の領域だけにとどまらなくなっていくわけですが、広告の定義が曖昧になっていく、または広がっていくのだと思います。広告以外のことも考えられるようにならないと広告も考えられない、といった状況になってきているのではないかと思います。
杓谷匠(以下、杓谷):広告、購買データ、オフラインのデータなど企業が保有する様々なデータを、匿名化したユニークユーザーIDなどを用いて整理して、その上で広告を配信していく、という流れになっていきそうですね。
杉原:自動化は今後もますます進むと思いますが、入稿周りでいうと、キーワードなどはDSA(Dynamic Search Ads:動的検索広告)に代表されるように自動化できていますが、画像などでも自動化が進むと思います。これまで、マーケターはそれぞれのユーザーにシナリオ設計して広告を配信していたわけですが、これからはそれが人の手では間に合わなくなっていくでしょう。
GDPRの施行によってプライバシーの問題に配慮することは求められているものの、しっかり許諾を取れば問題ない、と一段落してしまっているようにも見受けられます。許諾をしない人に対するコミュニケーションの考え方も、マーケターとしては意識していかないといけないと思います。
佐藤:ぼんやりとイメージは出てきているものの、運用型広告に携わる人達が実際にどういう仕事をしていくことになるのかというところについては、イメージが掴みづらくなってきていますね。ある意味で、今我々がやっていることというのは、壮大な土木作業なのではないかと思います。建築でいうと大工サイドの進化が激しいので、大工の経験がないと建物の設計ができないということなのではないでしょうか。
この作業を一生懸命やっているうちに、この土台の上に何か新しいものが構築されていくと思います。だから、このデータをきれいに整えていくという土木作業をしっかり行っていかないと、未来が見えなくなってしまうと思います。
杉原:これからはオーケストラの個別のパートを演奏してきた人が、オーケストラを指揮していく立場に、積極的にキャリアチェンジをしていく必要があるでしょう。その指揮をうまくやるには、運用型広告を一度経験してきた人でないと無理だと思います。

杉原:データはどうあるべきか、というところから考えられるようになるには、運用経験がないと無理でしょうね。KGI、KPIの設計を含めて指標を作れる人というのが、とても大事なんだと思います。
鹿毛比呂志(以下、鹿毛):運用型広告を通じて得られるデータの向こう側に、人間そのものを見出し、テクノロジーの理解と合わせて人間への理解も高めていく。これが、運用型広告従事者にとって重要になってくるのではないかと思いますね。その両方を持っている人が、より大事になってくるように思います。
