顧客体験を「フリクションレス=無駄のないもの」に
MarkeZine編集部(以下、MZ):「Best Customer Experience」を企業活動の核として掲げているとのことですが、具体的にはどのようなお取り組みをされているのでしょうか。
ゲルティンガ―:まず、世の中の大きな潮流として「デジタライゼーション」というものがあるので、「デジタルツールを使ってどうお客様の体験を良くしていけるか」というところに着目し、様々なもののオンライン化を図っています。今では、テストドライブの予約や見積もり等はもちろん、昨年導入したMercedes-Benz Online Storeでは、車両の選択から契約締結までがオンラインで行えます。いきなり販売店に行くというのはハードルが高い場合もあるので、お客様にとって入りやすい「入り口」の整備を進めているところです。
また、車両購入を検討している方、既納のお客様を管理するシステムとして、「セールスフォース」を導入し、CRMシステムとして活用しています。

MZ:具体的な活用法を伺えますか?
ゲルティンガ―:これまで、我々メーカー側と販売店側でお客様の情報管理がバラバラという課題がありました。たとえば「コールセンターに伝えたことを、販売店でもう一度伝える」など、お客様にとって二度手間をさせてしまうことも多々ありました。そこで、当社ではセールスフォースを使って、お客様情報やお問い合わせ内容などをメーカーと販売店で共有する活動をはじめました。
お客様のデジタル上の動き、メーカー側に寄せられた問い合わせ内容、これまでの購入履歴などがわかっていれば、セールスマンもお客様のことをある程度理解したうえで、より適切な提案ができますよね。お客様の体験をいかに「フリクションレス=無駄のないもの」にできるか。これが今後のテーマだと思っています。
真にお客様に寄り添ったサービスを
MZ:「フリクションレス」は大きなキーワードとなりそうです。具体的な構想、お取り組みをお聞かせください。
ゲルティンガ―:現状最もフリクションレスにしたいのは、オンラインとオフラインのつなぎ目のところですね。オンライン、オフラインというのは、提供側が切り分けているだけで、お客様にとっては関係ないんですよね。大事なのは「入り口」だけではなくて、「たどり着きたい体験にすぐに辿り着ける」こと。世の中の技術的に「もうできるでしょ?」と思われている方も多いと思いますが、実現できているところはまだまだ少ない。そこに伸びしろがあると思っています。
あとは契約に関わる部分など。購入の際、様々な書類に名前や住所を何度も書く……というのは、体験としてはあまりスマートではないですよね。もちろん一企業ですべて解決できることではありませんが、企業としてできることはしていきたいと思っています。

MZ:最後に今後の展望をお聞かせください。
ゲルティンガ―:本日お話しした取り組みは、まだスタートしたばかりです。よりお客様に寄り添ったサービスが提供できるよう、現在提供している取り組みをしっかりブラッシュアップしてきたいと思います。
最近では、Social Studioを活用したソーシャルリスニングも始めました。メルセデス・ベンツに関わる意見を、ネガティブ・ポジティブ合わせてすべて集め、社長をふくめ、全マネジメント層に毎日送っています。お客様の声を真摯に受け止めて、真にお客様に寄り添ったサービスを提供していきたいです。