掲載面がわからない広告などおかしい
ネット広告の存在感は年々高まっている。電通の「日本の広告費」によると、2014年に年間ネット広告費が1兆円を超え、毎年堅調に伸び続けている。
その一方で、アドフラウドやビューアビリティ、ブランドセーフティといったアドベリフィケーションに関する問題も浮き彫りになってきた。ブランド広告主であれば、これらの問題に対する対応を考え始めている、もしくは対応を始めているのではないか。
今回記事に登場する大和ハウスは、現在のようにブランド広告主が問題視する以前から対応を進めていた企業の一つだ。同社では、既にブランド毀損の恐れがないと判断した媒体をまとめたホワイトリストでの広告配信を行うなど、ブランドセーフティな広告配信を心がけてきた。
今回インタビューを行った総合宣伝部の小林高英氏によれば「以前より、ネット広告の不透明性を危険視していた」という。
「DSPやアドネットワークでは昔からどの面に出ているのかわからないものが多く、そこへ広告出稿することに疑問を感じていました。特に、私が担当している戸建住宅は単価も高く、検討期間も長い上に競合他社も多い。その中でブランドイメージを低下させるわけにはいかないので、広告の配信先には非常に気を使ってきました」
コンテンツまでは避けきれない
確かにマス広告であれば、自社広告の掲載先は指定できる上に、実際に掲載されているところも確認しやすい。一方、運用型広告を中心としたネット広告の場合、どのメディアのどの広告枠に、いつ掲載されているのかを調べ上げることはできない。
それにいち早く気づき先行して対応してきた大和ハウスだったが、それでも対応しきれない問題があった。それは、ホワイトリストに入れている信頼性の高いメディア内で掲載されている記事への対応だ。
たとえば自然災害などがあった際、大和ハウスではその地域での広告配信を制限したり、クリエイティブのコントロールを細かく行ったりしている。Webメディアに掲載される記事に、家に関する広告が出るのを避けるためだ。
このように配信を調整して解決できるのであればまだいいが、たとえば同業他社に関係する事件の記事など、消費者の目線で見て出たらまずい記事というのは一定数ある。小林氏は「細かなところまでブランド保護の観点で見ていくことが必要」とした。
「掲載をできる限り避けたいコンテンツはあるものの、全てを確認して一つ一つ配信停止するのは無理です。しかし、これらのコンテンツに出稿された広告を見たお客様から、出稿している企業姿勢を問われたり、不快に思われたりしないようにしたいと考えていました」
この課題を解決すべく、大和ハウスが注目したのが、イスラエルのアドテクノロジー企業である「CHEQ AI Technologies」が昨年開発したアドセーフティサービス「CHEQ」だった。