オンライン・オフラインの両方でデータを集約
「今は当社が主催するeスポーツイベントのデータをDomoに集約しています」と話すのは、eSports統括本部 デジタルマーケティング部の池田ひかる氏。

「eスポーツビジネスには2014年から、『ストリートファイター』の公式世界大会『CAPCOM Pro Tour』をアメリカ子会社が毎年主催することで参入してきました。ただ、イベントがどのような目的を持って、どのような効果があったのかという検証が曖昧だったんです。今後さらに盛り上がっていく市場ですし、しっかり事業として推進していこうとなり、部署が新設されたという経緯があります」(池田氏)
eスポーツイベントはオフラインだけでなく、YouTubeなどの動画配信サービスでも公開される。そこで、オフラインでは何人来場したのか、オンラインではどのエリアで何人視聴したのかなど、純粋なユーザー数をKPIとして設定した。ユーザー数というシンプルな指標のため、すべてのイベントで問題なく導入できたという。結果、メンバーで共通の数字を見ながら議論できるため、次のイベント企画の判断材料として活かしやすくなった。

「ファンを増やす=ソフト購入につながるので、ゲームメーカーとしてファンを囲い込んでいくことには中長期的に取り組んでいく一方で、イベント単体でも収益をあげていくことを目標に動きはじめたところです」(赤沼氏)
追っているKPIは、ユーザー数だけではない。エンゲージメントを把握するために、一人あたりの視聴時間も計測している。「リアルタイムイベントなので盛り上がるタイミングもあれば休憩などでクールダウンする時間もあります。どのタイミングでユーザーが離脱するのか、どれだけのユーザーが長時間見ているのかを把握することで、大会の質がわかってきます」と、赤沼氏。
データから潜在需要を掘り起こし
収集したデータが整理され、必要な要素を確認しやすくなったことにより仮説検証にも有効に機能しているという。
「海外展開する際、やはりアメリカやヨーロッパの主要都市を中心にプロモーションを行うのですが、いくつかのデータから、それら以外の地域や国にも需要があるのではないかと仮説を立てました。仮説に基づきテストマーケを実施したら、大きなニーズのある地域を掘り起こすことができました」(赤沼氏)
その成果を受けて、池田氏は「今後は、その地域で影響力のあるインフルエンサーを起用し、これまでカプコンのコンテンツに触れられてこなかったユーザーにも訴求していく施策を行っていく予定」であると展望を語る。
意思決定を裏付けるデータがすぐに確認できるようになったことでフットワーク軽くPDCAを回せるようになったというわけだ。