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西口一希と考えるマーケティング視点の経営

「上の世代を見ちゃだめ、下の世代に注目すべし」スマニュー西口×電通デジタル有園の平成振り返り対談

経済と景気と行動心理学の重要性

西口:なるほど。なんでもできるからこそ、仮説を探る拠り所をどこに持つか、という話ですね。

有園:顧客の心理は大前提として、経済や景気を加味すれば、仮説の精度を高められます。前編でお話しましたが、マーケティングに経済や景気が重要なのは昔も今も変わっていないので、重視していない人はぜひ気にするべきだというのがひとつ。

 加えて、昔よりもその重要性が増していることにも注目したほうがいいと思います。たとえば、2014年ごろに旅行代理店の仕事を多く担当していたんですが、今後のアドバイスを求められたときに「アベノミクスで株価が上がり、富裕層は気持ちが上向いて海外に行きやすい心理になっているかも」と予測したんですね。そうしたら、富裕層向けの旅行プランが実際に伸びた。

西口:経済と景気と行動心理学を押さえると、大きく外すこともない気がしますね。

有園:そうですよね。根本のコンセプトがつかめれば、施策はデジタルでいかようにでも柔軟にできるじゃないですか。私はたまたま大学院で経済学とデータサイエンスを両方やっていて、たまたま今に活かされていますが、広告業で経済の話をする人ってあまりいないんです。ただ大規模キャンペーンを打てば売上に跳ね返るような時代じゃないからこそ、大きな視点が大事だと思います。

西口:そうですね。枝葉末節の手法論にばかり目を向けないでほしいですね。

上の世代を見るな、下の世代に注目せよ

西口:最後に多少、マーケティング領域のテクノロジーの未来予測も話せればと思うんですが、何に注目されていますか?

有園:ひとつは、ずっと携わっているテレビ放送の同時配信です。もう視聴ログのテストもしていますし、東京五輪前には整うと思いますね。2つ目は、モバイルの延長にあるウェアラブル、ディタッチャブル、インプランタブルなどに注目しています。

 サイボーグといったら言い過ぎですが、確実にテクノロジーを身体化する流れはきていますよね。センサーの発展で、脳以外はほとんど機械に任せられるようになっている。その可能性はもちろんマーケティングだけでなく、医療や社会にも十分およぶので、興味深いです。

西口:おもしろいですね。

有園:あとは、教育ですね。2020年にプログラミング教育が導入され、離島を含めてすべての小中学校にLANが入り、タブレットでの電子教育が一般化します。

 私は一応あと20年、70代までは働くつもりなんですが、そうすると何なら今年生まれた子が社会に出て競合になるかもしれない。それはもう、太刀打ちできないと思うんですよね。我々の親世代がスマホを使えないことを、笑えないですよ。

西口:それは太刀打ちできなさそうです……。最後に若手へのメッセージをいただきたかったんですが、マーケターは上の世代は見ず、下の世代を見るべきですね。この真性デジタルネイティブを。

有園:本当、そうですよ。上の世代は足を引っ張るだけだから(笑)。英語もプログラミングも普通にできる、下の世代をぜひ見てほしい。

西口:平成どころか100年を振り返りましたが、結論としては「歴史を踏み台にして先を行け」ということですね!

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この記事の著者

西口 一希(ニシグチ カズキ)

大阪大学経済学部卒業、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)マーケティング本部に入社。ブランドマネージャー、マーケティングディレクターを歴任。ロート製薬 執行役員マーケティング本部長として「肌ラボ」「Obagi」「メラノCC」「デオウ」「ロート目薬」などの60以上のブランドを統括。ロクシタンジャポン代表...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/03/08 08:00 https://markezine.jp/article/detail/30454

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