広告をビジネスの主軸に
R25式モバイルはそれまでリクルートが主に提供していた公式サイトの枠からはずれ、メディアとして広告ビジネスモデルを前提に立ち上げられた。通常のバナー広告だけではなく、検索機能があるポータルサイトであることから、検索結果に対して表示されるリスティング広告が大きな割合を占めている。
また、携帯サイト単独で広告を展開するのではなく、R25本誌などと連動してキャンペーンを行うクロスメディアパッケージの販売に力を入れており、広告クライアントとユーザーの接点をあげていくための取組みが多く行われているのが特徴だ。
交通広告を中心にプロモーションを展開
プロモーションを行うにたあたっては、ターゲットとなるユーザーが主に利用する、首都圏の電車や地下鉄などに交通広告を出稿し、電車の中吊りなどのほか、改札機にシールを貼るといったユニークな試みがなされた。現在は2年間ほど交通 広告を行い続けることで効果が薄れたため、モバイル広告や、リスティング広告を中心に展開しているという。
リピーターを増やすための施策としては、朝イチmailや、夕刊mailといったメルマガの配信を行っている。特に朝イチmailは、午前5時から午前11時まで、10時間おきにユーザーが配信時刻を指定できるようになっており、目覚ましを使うような感覚で利用することが可能だ。
またフリーペーパーのR25がサイトの最も大きな告知手段となっているほか、サイトでユーザーの声を集めその投票結果などをコンテンツとして誌面に反映するといった連動企画なども多く行われている。
方針と想いを共有しながらの開発
今までのリクルートでのサイト開発は、ガチガチにドキュメントを作成し、仕様を固めながらの制作であった。しかし一般サイトとしてスピード感を持って開発を行っていくことを重視した結果、開発フェーズごとに納期を設けるのではなく、企画が立ち上がった段階ですぐに開発パートナーと打ち合わせを行い、その場ですぐに仕様を詰めて開発を進めていく方法に変えたという。
企画の概要説明の段階で、画面遷移と企画の概要に関する資料を簡単に作成するが、細かい設計は開発者側に委任し、仕様よりも企画の方針や、サービスとして実現したい想いを伝えることに力を注いでいる。当初は試行錯誤があったものの、現在はそういった価値観を共有することができ、簡潔なドキュメント作成で開発が進んでいく体制が構築できている。
文字数とキャッチの付け方でPVが変わってくる
ポータルサイトのコンテンツを編集していく上で鍵となるのが、ニュースの見出し。R25式モバイルではニュース編集を専任8名体制で運用している。ニュースの本文自体は通信社などから提供を受けているが、タイトルについては編集権をサイト側で持ちモバイル向けにカスタマイズしているほか、どのようなニュースを取り上げるかユーザーの嗜好にあわせて採用の判断を行っている。
同じニュースでも見出しの文字数とキャッチコピーのつけかたでPVが全く異なってくるとのことで、リクルートではノウハウを蓄積しながら、サイトと同世代の男性スタッフが編集を担当している。いかにクリックしたくなるタイトルをつけるか、見られるニュースを選ぶかは、同世代のスタッフならではの価値観や、カルチャーの共有が及ぼす影響が非常に大きいという。
R25式サイトモバイルは、それまで学生や女性といったコアユーザー向けのサービスが多かった一般サイトの中で、あえてM1層というそれまで試みの少なかったターゲットに対して提供されたサービスだが、ユーザーの嗜好や生活スタイル、携帯リテラシに合わせたサイト作りという観点で学ぶところが非常に多いサイトである。今後は、サイトからユーザーへの情報提供だけではなく、広告クライアントとユーザー、サイトとユーザーをもっと近づけていけるような双方向のやりとりなどにより、モバイルサイトとしての特徴をさらに活かしていきたいとのことだ。
※続きは実際に本を読んでみてください。詳細はこちらから→amazon.co.jp/seshop.com