ステップ4:覚醒期
事業も拡大し、社外での露出が増えてくると、影響力が大きくなるにつれ社会から厳しい評価を受ける場面も想定されます。組織的に明確になっていない事柄などは、広報部門と都度対応を検討し、明文化して蓄積していく必要があります。また、SNSや講演、メディア露出などで誤解を生む発言をしないよう指針を作って社内での同意を得たり、メディアトレーニングを受けるなどの対策も有効です。炎上した場合は、すぐに対策を練り、真摯な態度でしっかりと「事実」を伝えるようにするなど、危機管理の観点も重要です。
また攻めの観点でも新しい課題が発生します。発信の内容について、サービスや事業についてだけでなく、社会的課題における自社や自身の見解の提示や、課題解決に向けたての業界横断的な企業活動など、より幅広い視点からの様々な側面でメッセージを発信することが求められます。
ここまできたら、取材を受ける際も、コメントの内容だけでなく服装や態度にも気を配るなど、「会社をどう見せたいのか」を意識したブランディング戦略を考えるように心がけましょう。

POINT:業界のカンファレンスでパネルディスカッションや基調講演
メディア露出の幅が広がる(連載、書籍、有料講座、オンラインサロン)
やってみよう:プレゼンのトレーニングを受ける
ファッションコーディネーターをつける
プロフィール写真をプロカメラマン撮影してもらう
注意ポイント:サービスや会社に対する批判、ネガティブなニュースの対応に備えよう!
本番直前までスライドを変更する癖が治らず、運営側を困らせないよう注意!
SNSで業界内の炎上に巻き込まれないよう注意!
本来の意味でのエバンジェリストを目指す
エバンジェリストやコネクタという役割は、新たな職位を示す名称として、近年では様々な呼ばれ方をされながら、新たなキャリアとして注目が集まっています。エバンジェリストの仕事は一言で言うと「伝えることで関係性を作る」ことです。それも、「メディアを使って企業が発表したいことを報じる」のではありません。新製品や新技術などのファクトだけでなく、企業が提唱したい新たな価値や想い、業界として取り組んでいくべき課題など、その組織が発信したいすべてを、自分自身の行動を通じて、顧客やクライアントなどあらゆるステークホルダーと呼ばれる「伝えたい対象」に届けるための存在です。
エバンジェリストとしての地位が確立されるほど、組織に属していることを忘れてしまい、自分自身の情報発信に偏ってしまうケースも見受けられます。しかし、本当に大切なことは自分の属する組織の立場から、市場や業界、そして世の中のために正しい情報を適切な方法で目的となる対象者に向けて正確に発信することだと考えています。そのためにはコミュニケーションの設計がとても重要であり、仕事の性質上、プレゼンテーションやデモンストレーションのスキルとともに、人柄や考え方などでも成長度合いが左右されるのではないかと考えています。私心に惑わされることなく、今回のロードマップがプロのエバンジェリストを目指す際の一助になれば幸いです。