「イマドキ男子」のプロファイリング 彼らとの有効な接点は?
では次に、ID連携によりシングルソース化された「生活者360° Viewer」のデータを用いて、メディアの接触行動や情報の受発信行動に留まらない「イマドキ男子」のプロファイリング結果を紐解く(図表3)。

メディアの接触状況をあらためて見てみると、LINE、Twitter、Instagramの利用が活発なことがわかる。TwitterやInstagramの利用頻度や、フォロー数、フォロワー数も「M1」を上回っている。
また、YouTube、ニコニコ動画といった動画系サービスも娯楽として、なくてはならないサービスになっているようだ。そして、AbemaTVやTVerといった新しい動画サービスが彼らに浸透しつつあることにも注目したい。それらのメディアに対する「特定の趣味嗜好が合うから」という視聴理由を見ると、「観たいものを観たいときに。好きなカタチで」という彼らの声が聴こえてくる。スマホの利用実態を丹念に見ていくと、TVerやYouTubeのようなアプリの中で、魅力的なテレビコンテンツの視聴が確認できるはずだ。こんなところにも「イマドキ男子」への有効な接点が潜んでいるように思える。
また、冒頭で通勤・通学の風景を描写したが、電車の中吊りや駅貼りといった交通広告については有効な接点であることがわかる。電車内や駅構内で就活や転職といった「就活、第二新卒」といった若年層の就職支援サービスの広告を頻繁に見かけるが、本結果を踏まえると、彼ら向けに有効な接点を選択していると言えよう。
その一方、新聞、雑誌、ラジオは、アンケート回答では接点が弱くなっており、「ラジオはまったく聴かない」「新聞・雑誌は読まない」といったスコアが高くなっている。しかしながら、これらのメディア接点が弱くなったと早合点してはいけない。ラジオ局が2010年4月に配信を開始したスマホやパソコンでラジオが聴ける無料サービスの「radiko(ラジコ)」のアプリ利用率のランキングを見てみると、「イマドキ男子」では60位に確認できる(「M1」は73位)。
TVer同様に、電波がネット(通信)にシフトすることで、コンテンツのチカラが新しいアプローチを芽吹かせている。さらに、人となりの特徴からは、「周囲からの見え方や評価」を多分に気にする彼らの心理もあぶり出されてきた。「他人からどう見えるか」はSNS上で「映え」を追い求める心理に通底する。TwitterやInstagramでたえず周囲を見回し、今を捉え、たえず自分をチューニングする。そうした彼らの日々の努力も今回のプロファイリングで明らかになった。メッセージの語り口を考える際のヒントとしても気に留めておきたい。
「テレビ離れ」「クルマ離れ」など、「〇〇離れ」といった文脈で語られることが多い「若者」も、丹念にデータを見ていくことで、コンタクト・ポイントや語り口など、彼らへのアプローチの糸口が見えてくる。
▶調査レポート
「イマドキ男子とのコンタクト・ポイントを探る」(Intage 知る gallery)