注視すべき外資モバイルプラットフォーマーはGAFAだけではない
2019年に入り、この仮説を実証する結果がデータで出ました。2019年1月〜3月のアプリ収益成長率のTOP15アプリのうち、実に7つのアプリが海外企業でした。その1年前の2018年1〜3月で同じようにデータを見ると、海外企業アプリはわずか2つ。ガラパゴス化していた日本のアプリビジネス市場の牙城がジワジワと崩れ始めているということが、この数字からわかります。
どうしても外資モバイルプラットフォーマーと聞くと、GAFAが思い浮かぶかもしれませんが、GAFAに限らず中国のAlibabaやTencentといったメガ級のコングロマリット、OTA(Online Travel Agency)のTripadvisorやBooking.comやExpedia、ヘルスケア・フィットネス領域では中国のKEEPや米国のCalmやStrava、移動・交通ではDiDiやUber等、様々なサービサー・プラットフォーマーが日本国内へ展開してくる可能性があります。なぜならアプリの市場において、日米中の3ヵ国で全世界の60%以上のシェアとなっている寡占市場であり、モバイル領域でビジネスをするという視点でいうと世界的にチャンスの大きい国だと判断されるからです。

ファクトから考えるべき、これからの経営&マーケティング戦略
これからの経営戦略やマーケティングを考えるにあたり、まずは足元の市場環境を海外まで広げて見ることで、違った絵が描けるはずです。日本の生活者がどれだけの海外サービス・コンテンツに触れているのか、それによってお金だけではなく、あらゆるデータが海外企業に収集されているのです。それらを理解した上で、現在のモバイルビジネスの動きが日本のあらゆる産業に中長期的に大きな影響を及ぼすことになることを、多くの経営者は認識したほうが良いでしょう。
これは必ずしも「アプリを作ればいい」という性急な話ではありません。まず第一歩として、モバイルによる産業構造の変化や生活者のライフスタイルの変化を先入観抜きにファクトベースで把握し、この流れが脅威なのか機会なのか、その表裏一体の実情を理解してから次の戦略を考えるということが何よりも重要です。
