可処分時間をめぐる競争は激しさを増し、多くの企業が生活者に情報を届けるコミュニケーション手法に課題と危機感を抱えている。2019年6月11日に開催された「MarkeZine Day SPECIAL powered by CCI」では、先駆的な取り組みに挑戦している企業が複数登壇。「コンテンツマーケティング」「データ・ドリブン」「ブランド・ロイヤルティ」という3つの切り口から、今求められているコミュニケーション設計のポイントが語られた。
デサントの顧客とのつながりを強化するオムニチャネル施策
最初のセッションは「データ・ドリブン」をテーマに、スポーツメーカーのデサントから溝口智昭氏と古井戸一郎氏が登壇。同社は量販店や百貨店などでの販売のほか、直営店やECといった自主管理売り場を持っている。現在、自主管理売り場における売り上げは全体の30%を占めているが、それを40~50%へ拡大することを目指しているという。4月には、2022年3月までに主力ブランド「デサント」の直営店を現在の倍の20店を目指すこと、直営店とECでの在庫を一元管理して融合しオムニチャネル化を推進していくことを発表。そのためには、エンドユーザーとの関係構築もこれまで以上に重要になってくる。
株式会社デサント グローバルデジタルビジネス戦略室 室長 古井戸一郎氏(右)
溝口氏は、CRMの一環として直営店とEC共通の会員サービスを見直していると話す。デサントでは、全部で14のブランドを運営している。それぞれに顧客層は異なるが、これまでは会員全体に同一の情報提供しかしていなかった。しかし、直営店やECでの購入データ、同社が主催するスポーツイベントへの参加といった行動履歴をCDPで管理することで会員への情報を最適化して出し分け、ファン化・購買促進をしていくという。
古井戸氏は、2020年までにアプリの導入を計画しているとも語る。たとえば直営店でチェックインするとポイントやクーポンがもらえる仕組みにし、そのアクションによって店員に顧客の購買データなどの情報が送られ、顧客にマッチした商品を薦めたり、接客時のトークに活かすなどしていく。直営店の魅力向上には、限定商品を販売するなどの「モノ」と合わせて、そうしたデータを基に接客の質を上げる「コト」も重要だ。
また、直営店とECのオムニチャネル化では、「せっかく来店したのに希望の色やサイズの在庫がなかった」という店舗で起こりがちな課題も解決していく。たとえば赤、青、緑の3色あるアイテムで、サイズがS、M、Lの3種類がある場合、直営店には赤のS、青のM、緑のLは必ず揃えておくようにすると、顧客は試着して自分に合うサイズを把握し、直接見ることで好みの色を判断できる。そして自身が欲しい色とサイズの組み合わせが直営店にない場合は店頭でオーダーし、ECから商品を発送する。そうすることで、直営店側でも在庫をたくさん抱えるという負担が軽減される。こうした利便性の向上で、顧客のロイヤリティを高めていく考えだ。
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平田 順子(ヒラタ ジュンコ)
フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行う。2008年よ...
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