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サブスクリプションモデル大解剖

サブスクが可能にした「クルマの乗り換え」という体験 IDOMの「NOREL」が軌道に乗るまでの3年間

期待を超える提案が「NOREL」の価値につながった

西井:「お客様の期待値を超える」とは具体的にどんなことでしょうか。

山畑:コミュニケーションによって得られた情報をカルテに落とし込んでいくことで、お客様の「WHY」がわかるようになりました。「赤いクルマが好き」「SUVが好き」で止まってしまうのではなく「なぜ好きか?」を追求し、お客様を理解していく。これにより、NORELから「こんなクルマにお乗り換えしませんか?」という具体的な提案ができるようになったのです

 象徴的なのが、雪の多い地域にお住まいのお客様へ「雪のない季節には、オープンカーに乗ってみませんか?」と提案したところ、とても喜んでいただけたこと。そのお客様から「オープンカーに乗るなんて考えたこともなかった。ドライブが楽しいです」とお手紙をいただき、これがNORELの提供する価値なのだと実感しました。

西井:その方は、知らず知らずのうちに好みよりも機能性でクルマを選んでいたのかもしれません。そこでNORELが「季節ごとにクルマを乗り換えましょう」と、選択肢を解放できた。お客様が気づいていないインサイトを満たす提案ができることは、大きな価値ですね

山畑:クルマを購入するときに、リセールバリューを考えて車種やクルマの色に制限をかけてきたお客様は多いと思います。しかし、NORELであれば、本当に好きなクルマを選ぶことができる。そんなワクワクする体験が、私たちが本当に提供したい価値なのです。

 その価値を重視して、NORELでは、乗り換え率もKPIとして追っています。正直なところ、乗り換えの頻度は利益にも影響するのですが、お客様満足度を優先しています。

西井:他ではできない体験を提供し続けることが、お客様の満足度につながっていくという考え方にはとても共感できます。

サブスク成長の鍵は「提供価値を高めること」

西井:これまでお話いただいたように、NORELはサービスの基礎が整い、これからさらに挑戦的な取り組みができる段階にきていると思います。今後の展望をお聞かせください。

山畑:まずは引き続き、NORELの体験価値を高めていきたいです。そのことが、新しいお客様と出会うきっかけにもなると考えています。

 また、少しずつですがプロモーションも広げています。クルマのサブスクリプションは、多くの方が体験したことのない世界です。通常のプロモーション活動ではその価値を想像してもらうのが難しいため、これまではFace to Faceでおすすめすることを大切にしてきました。その知見を、マーケティングの仕組み化に転換していきたいですね。

西井:サブスクリプションが生み出す体験の価値を伝えるには、工夫が必要ですよね。

 オイシックスではサブスクリプションを「暮らしの選択」と定義しているのですが、これまで体験したことのない価値をいきなり伝えても、理解してもらうのが難しい。まずは「美味しい」という身近な体験からスタートしてもらうと良いかもしれないと思っています。

山畑:また、これまでを振り返ると、サブスクリプションという言葉にとらわれ過ぎていたという反省もありました。今後は「クルマを乗り換えることで生まれる体験価値」の追求に、より重点を置いていきます。サービスを改善すべく、現在も準備を進めているところです。

西井:サブスクリプションビジネスを成長させるためには、お客様へ提供する価値の向上に振り切ったほうがいいですし、そして、その価値を信じることが大切だと私も考えます。本日は、ありがとうございました。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/07/08 09:00 https://markezine.jp/article/detail/31403

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