※本記事は、2019年7月25日刊行の定期誌『MarkeZine』43号に掲載したものです。
消費ニーズが「所有」から「利用」へ大きく変化
近年、月額または年額制で商品やサービスをいつでも利用できる、定額サービスが急増しています。映画や音楽、書籍などの他、自動車、洋服、時計、珈琲、ラーメンに至るまで、様々な定額サービスが登場し、「サブスクリプション」と総称されています。
サブスクリプションが勃興してきた背景には、大きく2つの理由があります。1つ目は、「所有」から「利用」へと、消費ニーズに変化が起きていること。もう1つは、それに付随し、従来のプロダクト販売モデルによるビジネス成長が頭打ちになったことです。所有という需要が低くなったため、モノをたくさん販売することで売上を拡大していくというビジネスモデルに陰りが見え始めているのです。事実、2000年にFortune500社に選ばれた企業の52%は、買収・統合などにより既に消滅しています。こうした背景のなか、新たな収益ベースを作っていくために企業から注目されているのがサブスクリプションモデルなのです。
しかし、現在サブスクリプションと呼ばれているサービスのなかには、本質的な部分でサブスクリプションではないものがたくさんあります。課金体系を変え、製品の支払い方法を12分割もしくは24分割にしただけで「サブスクリプション」と名乗っているサービスは珍しくありません。そして、そうしたサービスほど、数年もしないうちに撤退してしまうことが多いのです。では、サブスクリプションで成功するためにはどうすればいいのでしょうか。サブスクリプションの本質から、収益拡大をもたらす戦略の立て方まで、順番に説明していきます。