ユーザーの嗜好性を捉える仕組みとは
MZ:ユーザーに響くコンテンツを保有しているのに、ユーザーに訴求できない状態は非常にもったいないですね。
古田:できる限りコンテンツを揃えていただければ、あとは各コンテンツが響きそうなユーザーをアルゴリズムで抽出して広告を配信します。それも、年齢や住所などただ表層的な情報だけでなく、行動から読み取れるインサイトを捉えたうえで届けます。
たとえば私は香港映画が好きなのですが、ダイナミック広告ではない従来の広告手法では、私に香港映画作品が表示されることは、ほとんどありません。なぜなら、私の年齢や性別といったデモグラフィックな情報だけで判断すれば、流行のハリウッド映画が好きだろうと広告運用者は予想するからです。
でもFacebookとInstagramのダイナミック広告の場合、私のオンライン上の行動をきちんと見たうえで香港映画、もしくはそれに近い作品がレコメンドされる。普通の広告では実現できないような、インサイトを突いたレコメンドができるわけです。
MZ:では、どのような仕組みで各ユーザーの嗜好性を判断しているのでしょうか。
古田:ダイナミック広告を利用する際、自社WebサイトにFacebookピクセル、アプリの場合はFacebook SDKまたは提携している計測SDKを追加いただく必要があるのですが、これを通じてFacebookが、各ユーザーのサイトおよびアプリ上の行動を学習します。
どのようなユーザーがどの作品に興味を持ち最終的に視聴したのか、その行動データを総合的に分析し、その分析をもとに、新規顧客においても相性が良いと予測した作品クリエイティブを配信しているのです。広告主も知り得ないようなユーザーのインサイトをあぶり出し、一番相性の良いクリエイティブを出すという一連の流れをすべて自動化しています。
今後はROAS、LTVを意識した活用促進を
MZ:今後、エンターテインメント&メディア業界での活用はどのように変化すると思いますか。
古田:現在はとにかく安く新規顧客を獲得するといった施策が多いですが、今後はROAS、LTV向上を意識した施策が増えていくと思っています。たとえば電子コミックサービスや動画配信サービスに登録したものの、コンテンツ量が多すぎて自分好みの作品が見つけられず、サービスの継続利用につながらないケースも多いと聞いています。そこで、InstagramやFacebookの広告でユーザーが好むと思われるコンテンツをレコメンドすることで、ユーザーがサイトに再来訪し、コンテンツを検索するという手間を省かせることができるため、効果的にサービス・アプリの継続利用を促すことができます。このような活用は今後促進していきたいですね。
また、海外配信へのニーズも高まると考えています。特にマンガコンテンツは世界中にファンがいるので、海外向けに電子コミックサービスの広告を配信する企業も少しずつ増えてきています。FacebookとInstagramの広告プラットフォームは万国共通なので、海外配信も簡単に行えます。
MZ:ありがとうございます。この解説を踏まえ、実際の活用状況について、エンターテインメント&メディア業界のマーケターに今後話を聞いていきたいと思います、お楽しみに!