※本記事は、2019年8月25日刊行の定期誌『MarkeZine』44号に掲載したものです。
社会課題を解決するために働きたい
株式会社スマートドライブ レベニューマネージャー 弘中 丈巳(Takemi Hironaka)氏
大学卒業後、コンサルティング会社、セールスフォース・ドットコムを経て、2014年にマルケトへ入社。インサイドセールス部門の立ち上げをリードするなど、組織形成に深く携わる。同社では、子どもが生まれたタイミングで6ヵ月の間、毎週2日の育休を取得するといった新しい働き方にも挑戦した。2019年3月に、スマートドライブへ入社。収益向上を担うレベニューマネージャーとして、開発以外のすべての部署をマネジメントする。
――まず、これまでのキャリアをうかがえますか?
新卒で入社したのは、中小企業に特化したコンサルティング会社でした。昔から「やりたいことがこれと言ってない」というタイプだったのですが、大学生のときに起業に関わり、灰色の世界が一気に彩られるような体験をしました。そこから、人に貢献できることへ自分の時間を使いたいと考えるようになっていきました。一社目を選んだ理由は国内で99%以上を占める中小企業の業績が上がることが、日本の景気を良くすることにダイレクトにつながるかもしれないなと、おぼろげながら考えていたためです。入社してからは、就職氷河期でネガティブな社会を、中小企業から元気にしたいと思い働いていましたが、コンサルティングだけでは限度があると痛感しました。良い研修をして評価が良くても、仕組み化なしでは現場は変わりません。そこで、仕組み化ではグローバルNo1の実績とノウハウのあるセールスフォースへ転職しました。セールスフォースでは、都内での営業や中国・四国・九州など地方でのアライアンスパートナーの開拓・教育を担当し、営業支援の仕組み化に関わりました。
一方で、デジタル化によるビジネスの変化も感じていました。スマートフォンが普及してオンラインの行動情報が増えると、営業が事業に与える影響よりもマーケティングのほうが大きくなるだろう。圧倒的に企業の生産性を上げるならば、営業ではなく、マーケティングの仕組み化へ目を向けたほうが良いのではないかと考えるようになりました。そんなときに出会ったのが、マーケティングオートメーションを展開するマルケトです。セールスフォース時代は遠い存在だった福田康隆さんが、マルケト日本法人の社長に就任されたことも、同社に興味が湧いた理由の一つですね。役員以外のいち従業員としての入社は私が初めてという4名の組織でスタートし、インサイドセールス部隊を立ち上げ、フィールドセールス、カスタマーサクセス、マネージャーとできることはなんでもやり、組織作りに関わりました。
――そして、今年3月にMobility業界のスタートアップ企業・スマートドライブに入社されました。なぜ、マルケトからスマートドライブへ転職されたのでしょう。
少し前から尊敬するマルケトの経営陣たちから得たインプットを、外の世界でアウトプットしたいなと感じていました。そうでないと、マルケトで過ごしたことが単なるお勉強で本当の意味で自分の血肉にすることができないのではないかと。また、マルケトという会社が成長するにつれ、初期から関わっていただけなのに「自分が何かすごいことをやったのではないか」と自分の力を過信してしまうことを避けたいという気持ちもありました。多くの方々から学ばせていただいたことを再現性を持って別の環境で実現したいという想いが転職へと動かしました。
次のステージとしてスマートドライブを選んだのは、社会を変えることができる会社であると感じたからです。これまでのキャリアは、自身の関心や業務内で気づく課題に向き合ってきましたが、ビジネスマンとしての経験が長くなるにつれて今までよりも広い視野で物事が少しずつ見えるようになり、「社会課題を解決するために働きたい」と考えるようになっていました。スマートドライブは、移動の進化に向き合う企業です。移動に関するデータの収集と分析をベースに、新しいビジネスの立ち上げやサービス開発支援、BtoB向けのFleetマネジメントシステムの提供などをしています。自動車産業が「100年に一度の変革期」と言われダイナミックに動く中で直面する課題は、とても大きいものです。たとえば自動運転一つ実用化するにも、法律や保険まで含めて考えなくてはなりません。この大きな流れの中に信頼できる人たちと一緒に身を置きたいと思い、入社を決めました。代表の北川を始め他役員、メンバーの方々とは3年ほど前から交流があり、「この人たちと働きたい」と感じていたことも大きく影響しています。
スマートドライブでは、レベニューマネージャーとして、マーケティング、セールス、カスタマーサクセスなど、ビジネス領域のチーム全体を見ています。仕事をする上で、それぞれのKGIやKPIを追っていくと、組織全体のバランスが取れなくなってしまうことがありますよね。たとえば、マーケティングがリードを集めたのに、営業の手が回らないといったケース。このような状況が起きないよう、オペレーションを最適化しています。事前に組織全体を見渡したプロセスを構築したり、流れを止めているボトルネックを見つけて対処したりと、全体のバランスを調整する役割です。