5GがIoT時代を加速させる
5Gは、IoT時代を加速させる通信となるでしょう。たとえば自動車が端末となり、5Gの低遅延を生かし自動運転を実現することも夢ではありませんし、自動車の中での新たなモビリティサービスも活用できると考えられます。救急車で大容量データ通信が可能となれば、遠隔診断・治療も可能になり、たらい回しにされる問題などが解消されるかもしれません。
大容量データには4K/8Kの映像データをアップロードすることも可能になるため、単なる映像配信だけでなく高解像度な映像にAI解析を掛け合わせることで、防犯や防災、減災、事故防止など様々な用途にも活用できると考えています。
また、我々の身近な生活にも変化が出てくるでしょう。たとえば高画質VRを視聴できるようになれば、自宅で旅行を満喫することも可能になりますし、離れている家族・友人などともVR空間を共有することで、自宅にいながら空間共有を楽しむこともできます。ソフトバンクでも、ヤフオクドームで5Gを活用したスポーツ観戦の検証を実施するなど、VRによる新しい体験の提供を進めています。
しかし、5Gの商用開始後、上記すべてがすぐに品質よく実現されるとは限りません。たとえば高画質カメラの映像を5Gで相手先まで伝送する際、5Gは低遅延であっても、カメラ側で映像の圧縮に数秒時間を要してしまうため、遠隔治療など低遅延が必要なサービスでの適用は現時点では難しいと考えられます。そのため、今後はデバイス側など、ネットワーク以外の技術進化も求められてくるでしょう。全体的な技術が促進し、より良い未来が実現されることを期待しています。

ソフトバンク株式会社 先端技術開発本部
先端事業企画部 先端技術試験課 課長 山田 大輔氏
2010年にソフトバンクに入社。伝送系のネットワークの運用や構築に従事し、新サービスの運用フローの企画や障害復旧本部を経験。現在は5Gや先端技術などを活用した新たな実証実験や事業発掘に従事。
5GでダイナミックDOOHの広告表現は進化する
従来OOH業界ではポスターを駅構内の壁面などに貼っておくというアナログな広告手法が主流でした。しかしデジタルトランスフォーメーションにより電車内や駅でも非常に多くのDOOH(Digital-Out-of-Home)を見るようになり、生活者とのコミュニケーションをインタラクティブに行えるメディアになりました。その潮流の中でメトロアドエージェンシーではOOHの可能性を追求した取り組みを続けています。
暑い夏の日の夕方、仕事帰りのビジネスパーソンがDOOHの前を通ると、タイミングよくビールの広告が紹介される。このように天気・気温・パーソナルデータなどをトリガーにして、そのときその場所において最適な広告を出し分けるダイナミックDOOHも、その取り組みの一つです。そして5Gの登場は、このダイナミックDOOHの広告表現の幅を広げることができるでしょう。ダイナミックDOOHで用いられるトリガーデータは商品の在庫状況や映画の空席状況など多岐にわたり、今ではそれらを複数掛け合わせて利用されることも多くなりました。大容量・高速データ通信が可能になれば、より多くのデータを掛け合わせ、それらを即時処理しリアルタイムで広告配信をすることができます。クリエイティブの観点から言えば、より鮮明で高解像度のデータを使用することができるようになるため、広告表現の幅も広がるでしょう。
自社ではDOOHをはじめネットワークインフラ等の整備を推し進めていくことが、5G時代を生き残る上で重要になってくると考えています。

株式会社メトロアドエージェンシー
媒体本部 媒体戦略局 戦略企画部 笹矢 貴史氏
2013年入社。OOH歴4年。配属以来、東京メトロが保有する電車内や駅デジタルサイネージの管理運営に従事。現在は自社メディアの価値向上と新たなトレーディング手法の構築に取り組んでいる。