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One to Oneの紙DM制作までを自動化 ディノス・セシール流、MA活用の最前線

バイヤーの「知識・熱量」という眠れる資産

 商品にフォーカスすると言っても、非常に多くのアイテムには、それぞれの豊かなバックグラウンドがある。商品の適切な使い方やストーリーを施策に落とし込むには、バイヤーの存在が欠かせない。バイヤーが有する膨大な知識や熱量を引き出し、ストーリーに落とし込むのは機械に置き換えられないアナログな作業になるが、こうした生きた情報は強力な武器となる

 ディノス・セシールは、こうした眠れる資産と、個々の顧客が求めている情報とのマッチングの精度を高めるため、1年半前にマーケティング基盤として「Salesforce Marketing Cloud」(以下、「Marketing Cloud」)を導入。現在、大きく分けて2種類のシナリオを走らせている。

 ひとつは、カート放棄やブラウザ離脱など、EC運営において定石とされる施策。とはいえ、同社の場合は前述のように、カート放棄後にメールなどオンラインチャネルでアプローチした上で反応がない顧客に対し、One to Oneで紙のDMを郵送しているのが極めてユニークだ。

DMイメージ
DMイメージ

 もうひとつは、個別商品にフォーカスした施策だ。簡単な例でいうと、包丁を購入した顧客に対し、しばらく後にメンテナンスの重要性や活用方法を伝えるとともに、砥石やシャープナー、相性の良いキッチン商品を提案するメールを送る、といった内容だ。一見シンプルだが、それだけにありきたりなレコメンドだと顧客の側も耳を貸さない。ここに、バイヤーの知識と熱量が生きてくるのだ。

シナリオのアイデアを即実行できる仕組みを設計

 実際、個別商品にフォーカスしたアプローチはターゲット母数が限られるため、属性などで区切ったセグメント配信に比べて売上額は少ないものの、開封率は3~4倍、CTRは+30%もの成果が出ているという。

 「『Marketing Cloud』のようなMAツールを導入していると、あらゆるアプローチを効率化、自動化しているのだろうと思われがちですが、実態はとても地道で泥臭い作業の連続です」と原氏。適切なターゲット抽出と配信、スピードの向上や、マーケティングのインスピレーションを与えてくれるデータベースの操作性は「Marketing Cloud」が同社のマーケティング基盤になり得た理由だというが、「シナリオ設計だけは人の頭を使ってやるしかありません。一度、精度の高いシナリオを構築できれば、その後はチューニングをしながら効率的に運用していけるメドは立っているので、今はまさに仕込みの時期です」と続ける。

 現在は原氏の所属するECチームの調整の下、商品の特性や背景がお客様に伝わりやすい商品からマーケティング部とMD部、またコンテンツ制作を手掛けるチームなどと連携してストーリーに落とし込み、地道に実装、配信まで漕ぎつけている。一方、この方法の積み上げでは数が限られてしまうため、商品名と品番、訴求メッセージさえ準備すれば、翌日にも設定したセグメントにメール配信を開始できるテンプレートも「Marketing Cloud」内で設計した

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メールからLINE、紙のDMまでチャネルを横断

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この記事の著者

大島 彰紘(オオシマ アキヒロ)

株式会社セールスフォース・ドットコム 
マーケティング本部 B2Cカスタマージャーニーシニアスペシャリスト

コンテンツマーケティング専業企業およびデジタルマーケティング企業にて、コンサルタント、マーケティングプランナー/ディレクターとして多数のB2B・B2C企業を担当。2018年よりセールスフォース・ドットコムに...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/10/25 11:00 https://markezine.jp/article/detail/31971

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