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マーケティングを経営ごとに 識者のInsight

「憧れを身近に」して売上3倍に ゴディバ ジャパンが挑むデータドリブン経営

さらに3倍の売上へ向け各段階のKPIを検証

――今、宮野さんの部門は何人いらっしゃるのですか? また、領域が違うとKPIの設定も難しそうですが、どう設定し管理されているのでしょうか。

宮野:人数は、30人弱ですね。KPIについては、たとえばECひとつとっても購買ファネルの上・中・下でそれぞれのKPIを追いかけて、全体最適にならないケースも多いと思います。でも、KPIが分かれていると見落としがちですが、上中下で一人のお客様を追っているのですよね。一段レイヤーを上げて捉えると、ECと店舗の購買でも、一人のお客様がシームレスに動いています。

 そのつながりを理解し、一人のお客様のブランド体験を把握できないと、どの段階においても最適なコミュニケーションを実現することはできません。個別のKPIを見つつも全体として売上という大きな指標を目指すには、やはり部門がひとつになることが必要だったと感じています。各部門のやり方を学び、尊重しながら、それぞれの指標の関係性をひもといて最適な管理を構築しているところです。

――宮野さんの数字のミッションはありますか?

シュシャン:3倍です。3はとても好きな数字ですね!

宮野:はい(笑)。当然、売上をはじめとする数字のミッションは負っています。先ほどのKPIの話にも通じますが、ではその売上を立てるには何がどうなればいいかをお客様のカスタマージャーニーをもとに分解し、各部門のKPIに落とし込んでいます。

 たとえばゴディバの認知率はとても高いのですが、購買には認知のほかに、ブランドへの好感や共感が必要です。また、消費者の方が我々のブランドパーパスに共感するモーメントを捉えることも必要です。そこにKPIを置きます。

 購買の時点には当然そのKPIがありますし、その後の満足度、リピート購買や口コミにもKPIがあります。各指標の売上への貢献を分解すれば、全体を3倍にするための各KPIの目標値も算出できます。今、そのプランを立てて実践しようとしています。

 ただ、それも随時、走らせながら改善していくつもりです。今、お客様の生活や価値観はとてもスピーディーに変わっていくので、過去のゴールデンパターンにこだわっていては成長は止まります。効果測定と検証を繰り返して、KPIも合わなければ変えていきます。

企業文化を踏まえたデータドリブンマインドを醸成していく

――現在ゴディバにある85万規模の会員組織は大きな資産だと思いますが、今後ブランド強化や売上にどう活用していくお考えですか?

宮野:まず、CRMの顧客データは現在かなりの種類がありますが、それらが一元管理されオンライン・オフラインを一気通貫で活用できる状態になっていないので、その整備が急務です。今後は本社である日本の主導でデータを一元化し、お客様にハッピーなブランド体験を一貫して届けられるようにしていきます。

 一度接点を持った方に、今度は違うオケージョンで違うゴディバ商品に接して満足していただけたら、エンゲージメントが高まっていきますよね。データを使って、そんなプランニングをしていきたいと考えています。

 ビジネスの観点では当然、データを使って需要予測の精度も上げていきます。地域ごとの売れ筋商品と、気温や住んでいる方のライフスタイルとの関連がわかれば、各地の在庫の最適化も可能だと思います。

――では最後に、今後の展望をうかがえますか?

シュシャン:今後は、データ活用に必要なツールやシステムへは積極的に投資していきます。

宮野:ゴディバは自社の歴史を見ても市場を見ても、前例がないことをして伸びている会社なので、いかに“Out of the Box”な、常識にとらわれないアイデアを打ち出せるかが勝負です。併せて、今までCDOがいなかった会社で一人でデータ活用を声高に叫んでもうまくいかないので、これまでの会社のカルチャーを踏まえたデータドリブンマインドの醸成も心掛けたいですね。まずはその点に楽しく取り組みながら、新たなビジネスを構築したいと思います。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/09/25 13:00 https://markezine.jp/article/detail/32003

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