短期的な売上よりもデータの主導権を意識せよ
デジタル化の時代、データがマーケティングに重要であることは前提として、データを取得し、分析し、施策に落とし込むという業務プロセスを構築していくことは、GAFAだけではなくUberやAirbnb、上述したインドやイギリスのプラットフォーマー、TencentやAlibabaに代表される中国勢が日本に展開してくる上で重要な打ち手であるべきです。特に今はスマホを活用したビジネスチャネルが普及し、多くの生活者の行動や振る舞いはデータとして企業が取得できる環境が整ってきています。
Uber Eatsを利用するなと言うつもりはありませんし、事業として短期的な売上確保は軽視してはいけません。しかし、中長期の目線で見た時に、生活者を理解するためのデータをどう保持していくのかを、多くの日本企業、特に従来のリアル店舗至上主義でやってこられた企業は考えるべきでしょう。
自社顧客データ(1st Party)データの取得が難しい場合は、2nd Party、3rd Partyのデータから類推していくという手段もあります。たとえば、App Annieのデータによると、Uber Eatsユーザーは以下の嗜好が強いというデータがあります。

たとえばUber Eatsを利用する生活者がどういうモバイルサービスと親和性が高いのか、これらのアプリのUI/UXの特性は何か、これらの企業と合同でマーケティングキャンペーンをすることでユーザーに直接訴求するチャネルを持てるのかどうか、などのプランニングへと一歩進むことがでます。当然1st Partyデータよりも粒度は粗くなりますが、少なくともファクトベースで考える重要なポイントは「先入観と思い込みと勘」を排除することです。
デジタル・モバイルのチャネルや手法を積極的に取り入れて、生活者のデータを取得するにはどうしたらよいのか。このテーマは、マーケティングの現場だけでなく、経営陣を含め真剣に取り組んでいかなければいけません。さもなければ、気づいた時には外資プラットフォームにデータと利益を根こそぎ持っていかれていた……、という状況に陥るリスクと常に隣り合わせなのです。