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MAを使いこなすのに不可欠なのは“勝ちパターン”の確立 メール配信ソフトからの移行に必要な準備とは

 中小企業向けにクラウドサービスを提供するラクスが、メールマーケティングサービス「配配メール」にて、マーケティング・オートメーション(以下、MA)のメール関連機能を備えた新プラン「Bridge」をローンチした。メール配信サービスからMAへの移行を検討している企業に向けて、MAの基本を習得し「勝ちパターン」を構築したうえで本格的なMA導入につなげてもらう「練習台」がコンセプトだという。

MA移行で企業が抱える課題

――安藤さんはメール配信サービスからMAへの移行で悩んでいる企業の担当者からよく相談を持ちかけられるとうかがいましたが、みなさんどのような悩みを持たれているのでしょうか。

安藤:我々のお客様である中小企業の担当者の方々にアンケート調査をしたところ、MAの導入にあたり心配されていることは「数百万円の投資に見合っただけの効果を出すことができるのか」「導入後にきちんと運用できるのか」の2点であることがわかりました。独立したマーケティング部門のある中小企業はまだ少なく、アンケートに答えていただいたうち75%のお客様は、他業務との兼任でマーケティング活動を行っているというのが実態です。専任者のいない状況では、高度な設定が求められるMAを導入しても、機能を十分に利活用できない事情がうかがえます。

 実際に、当社のメール配信サービス「配配メール」からMAへと移行されていったお客様から、「実はMAが使いこなせなくて」というご相談をいただくことが多々ありました。そこで2年かけてヒアリングし、解決策として提供することにしたのがメール配信サービスとMAの橋渡しになる「配配メール Bridge」です。

株式会社ラクス クラウド事業本部 マーケティング・クラウド事業部 事業部長 安藤健作氏
株式会社ラクス クラウド事業本部 マーケティング・クラウド事業部 事業部長 安藤健作氏

MA導入前の必須準備は「勝ちパターンを知る」こと

――MAを導入し、成功するためには何が必要なのでしょうか。

安藤:MAは、端的にいえば、マーケティング業務の効率化・自動化を行うためのツールです。MAはリードに対してどのような施策を行えばよいのかまったくわからない状態で導入するツールではありません。自社のマーケティング施策において、ある程度の勝ちパターンを事前に確立しておく必要があります。

――勝ちパターンは、どのように見つけるのでしょうか。

安藤:まず、メールマーケティングにおいて施策の最終目標は購買・資料請求などの態度変容になりますが、そこにいたる前のKPIとして開封率やクリック率といった、メールへの反応がどれくらいあったのかを示す指標を見るべきです。ただ、メールに反応したからといって、その方が商品に興味のあるホットリードであると決めつけてしまうのは早計でしょう。そこで、「直近の期間でメールへ頻繁に反応してくれた人」など、顧客の反応については時系列での管理が必要となります。

 たとえばメールを1万通、5回配信して、どれも開封率が20%だったとします。その20%は同じ人なのかという疑問を持たなければいけません。そのときだけたまたま開いた人と毎回開いてくれる人どちらの温度感が高いのかといったら、当然後者です。そこで、毎回開いてくれる人たちをホットリード、それ以外の人たちをコールドリードと定義できます。こうしたリードの温度感に合わせて適切なセグメント配信を行い、適切なタイミングでアプローチをしていくことで、勝ちパターンが見えてきます。

ホットリード/コールドリードの抽出方法

――そもそもホットリード/コールドリードに分けるのはどうしてなのでしょうか。

安藤:それはメールマーケティングにおいて、リードの質とコンテンツの中身を合わせることが必勝パターンだからです。誰にでも読まれる文章は、誰にも響かないものになってしまいます。実際に、全員に配信したら開封率が1ケタ代だったもので、ホットリードだけをセグメントして内容もホットリード向けにしたメールを配信したら、開封率が40%ほどになったというお客様もいました。

 一斉に配信しても効果は限られるので、温度感の高い人向けにアクションを促すメールを出すことが大事です。まだ購入する気がないコールドリードに向けてディスカウントキャンペーンをお知らせしても響きませんし、逆にもう買おうと思っている人に来月の展示会の案内を出すと、むだにクロージング期間を延ばしてしまうことにもなります。

――展示会などで営業が獲得したリード区分とメールマーケティングのリード区分はどのように組み合わせればよいでしょうか。

安藤:営業との協力やすり合わせが必要になってきます。BtoBであれば営業側でホットリード/コールドリードやS(稟議起案)A(競合排除)B(アポ獲得)C(ニーズ/課題あり)などの確度づけをしている場合もありますし、獲得した期間で分けることもできます。時期が近いほど温度感が高く、2年以上前に獲得したリードの反応率は極端に低くなります。

 また、BtoCであればRFM分析に基づいたセグメンテーションが一般的です。購入頻度の高いお客様と最近買ってくれているお客様の掛け算で、確度の高いホットリードとそれ以外に分けます。やろうと思えばいくらでもセグメントできるのですが、最初のうちはホットとコールドの二つだけで勝ちパターンを定着させるべきです。

トリガーメールから次のアクションにつなげる

――セグメントしたリードには、それぞれどのようにコミュニケーションを取っていけばよいでしょうか。

安藤:メルマガに反応して、サイトのサービスページなどを見てくれたタイミングで、アクションします。このようにお客様が検討したタイミングを知ることができるのが、いわゆる「トリガーメール機能」です。

 通常では、お客様が料金ページを見ていたとしても、企業はその動向を知ることができません。しかし、トリガーメール機能を利用すれば、お客様が料金ページに来た時点で企業側に通知することができるので、フィールドセールスから接触したり、メールを送信するなど、ベストなタイミングでのアプローチが可能です。

――トリガーメール機能は何のページを見たときに発火させるのがおすすめですか。

安藤:BtoBにおいては、たとえば料金ページなどコンバージョンポイントに近いページに来た場合は、即フィールドセールスへ通知し、アプローチをしてもらいます。導入事例や機能ページといった少しコンバージョンから遠いページを見ている方にはホワイトペーパーをメールで送るなど、来訪したページの性質に合わせて使い分けるのがオススメです。

――送ったメールにアクションがない方に向けては、どのようにアプローチしていけばよいでしょうか。

安藤:態度変容を促すべく、ステップメールを送るのがよいでしょう。ちなみにステップメールにはコツがあります。ほとんどのお客様はシナリオ通りに動かないので、3ステップくらいにして、そんなに長くしないのがポイントです。反応が悪ければシナリオが短いほど修正しやすいですし、効果を見つつ調整していくのがよいでしょう。

 1ステップ目と2ステップ目では他社との差別要因やコスト的な特長など、温度感を上げるナーチャリング系のメールを送ります。そして最後に3ステップ目では、セミナー参加や展示会への来場、資料請求といった態度変容を起こせるものを送ります。特にBtoBでは、メールだけでナーチャリングできることはまずないので、3ステップ目の先で営業にトスすることを前提としたシナリオを組むことが大切です。

Bridgeの活用を通じてMAのノウハウを吸収

――Bridgeでは、これまでお話しいただいた方法をどのように実現しているのでしょうか。

安藤:ホットリードの抽出機能については、配信したメールを横断して開封した人やクリックした人をユニークユーザーベースで期間や頻度といった条件で絞り込めます。

 たとえば「1ヵ月以内に配信したメールを開封した人」を抽出できます。このようにしてリードの可視化ができますし、抽出した顧客に対してステータスを付与できるので、コールドリードだった人がメールを開封したのでステータスをホットリードに変更するといったことが可能です。

 トリガーメール機能については、メールからサイトのリンクをクリックした人にCookieが付与され、その人がタグを埋め込まれたページを見ると「今◯◯さんが来ましたよ」という通知が営業担当者やリード管理者側に伝わる仕組みになっています。そのタイミングでメールを自動配信することも可能です。温度感が上がっているお客様のタイミングを逃さずに、営業からのアプローチやメール配信ができるようになります。

――それらは兼任の担当者にも手軽に使えるのでしょうか。

安藤:ベースとなる配配メールの特長であるユーザーフレンドリーな操作画面を踏襲したうえで機能を作りこんでいますので、非常に簡単に設定できます。万が一設定でつまずいたとしても、カスタマーサクセス部隊がバックアップします。また、もう一つの課題であるコストについても、一般的なBtoB企業であれば年間70~80万円ほどで導入することが可能となっています。

BridgeはMAへの架け橋に

――ホットリード抽出やトリガーメール配信というのは、MAにおけるコア機能です。

安藤:はい。今まではMAに移行して初めてホットリード抽出やトリガーメール機能を知るという方が多かったので、何をしていいかがわからないことも多かったかと思います。

 Bridgeは、これらMAの基本を実践して基礎知識を身につけることができるサービスだといえます。基本を理解できれば、本格的なMAに移行してもスムーズに移行できるはずです。Bridgeで自社の勝ちパターンを見つけた状態でMAに行くという、いわば練習台のようなものです。その次の段階として、MAで大きく投資するということをできるようにしていきます。

――まさに勝ちパターンの構築・定着にうってつけのサービスだということですね。

安藤:MAはメール配信の延長線上にあるものですが、MAに移行して使いこなせなかったという今までの状況は、我々メール配信サービスベンダーにも責任があったと思っています。我々はメールマーケティングという分野でしっかり責任を果たして、業界全体としてマーケティングを盛り上げていきたいです。

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行う。2008年よ...

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MarkeZine(マーケジン)
2019/11/13 10:00 https://markezine.jp/article/detail/32240