コンテンツマーケティングを駆使するアメリカのBtoBビジネス
ブログやオウンドメディア、動画、SNSなどコンテンツマーケティング手法は様々ですが、これを駆使して顧客獲得や売上拡大を図るBtoB企業が、アメリカでは急速に増えています。米Content Marketing Instituteの調査では、BtoB企業の9割がコンテンツマーケティングを実際に利用、または利用を検討中と回答しています。
ECサイトなど一般消費者向けのBtoCサービスとは違い、専門性が高く、また購買プロセスも複雑・長期間であるBtoBビジネスでも、コンテンツマーケティングが必要とされる理由は何でしょうか?
アメリカは国土が広く時差もあるため、対面営業よりもWeb活用が常識
同じ国内でも東海岸と西海岸で3時間の時差があり、飛行機での移動にも数時間を要するアメリカでは、対面営業や打ち合わせは非効率。筆者もマーケティングツールなどの営業・デモを受けることがありますが、SkypeやGoogle hangoutを使ったカンファレンスコールやウェビナーの活用が常識です。
汎用的な製品・サービス案内を動画コンテンツ化している企業も多く、見込み顧客には営業前にまず動画を案内したり、E-mailでニュースレターを定期的に配信したりと、見込み顧客の繋ぎ止めや既存顧客のロイヤリティ向上に活用する施策が一般化しています。
一方、BtoBビジネスの購買側も、製品・サービス提供企業の営業担当への接触よりもまず先にWebコンテンツでの情報収集が一般的。米Salesforceによると、購買担当者の72%が事前にGoogleなどで製品・サービスについて調べているといいます。
BtoBバイヤー(購買担当者)の若年化
アメリカのBtoBビジネスでコンテンツマーケティングの活用が進む理由に、BtoBバイヤー(購買担当者)の若年化を挙げる人もいます。アメリカの調査会社Forresterによると、アメリカのテクノロジー分野のBtoBビジネスで購買の意思決定経験がある人のうち、27%が35歳以下、61%が45歳以下ということです(Content Marketing World 2019の個別セッション「Empathetic Content: The Key To Creating Lasting B2B Customer Relationships」より)。
従来のBtoBビジネスでは経験豊かな年長者が、特定の取引先を中心に購買の意思決定を下していたのに対し、若年化が進むのと同時に権限も細分化され、BtoB向け製品・サービスの購買意思決定に関与する担当者の数が全体的に増加しているのです。この点で、これまで特殊だったBtoBの購買プロセスがECなどBtoCサービスに近づいている側面もあり、コンテンツマーケティングの手法が機能しやすい一因と考えられます。
少し話は逸れますが、日本とアメリカの世代別労働人口の比較でも、差が顕著になりつつあります。アメリカでは年齢階級ごとの労働人口が比較的一定なのに対し、少子高齢化の影響からか日本の労働人口は40代前後の占める割合が高くなっています。日本との比較でも、BtoBを含め全般的にアメリカ側の企業担当者は若年化が進んでいます。そのため、海外向けのBtoBビジネスでは、こうしたバイヤー(購買担当者)の年齢層の変化についても把握が必要でしょう。
では、BtoBビジネスのコンテンツマーケティングで、どのような観点での施策がマーケティングの成功、つまり顧客獲得や売上拡大に必要でしょうか? アメリカのカンファレンスで紹介されたトピックスとともに解説します。