明太子メーカーのIoTは「いつも、おいしい、とどく」!?
次に登壇したのは、明太子を製造・販売するふくやの瀨﨑拓也氏。「味の明太子ふくや IoT活用について」と題したセッションで、明太子にまつわる顧客の「困った」をIoTで解決に導く試みが紹介された。
瀨﨑氏はまず、同社がなぜIoTに取り組み始めたのかを説明。きっかけは、社内会議で社長が語ったエピソードだった。
「社長が知り合いを家に招いた時に、明太子を切らしていまして。『明太子メーカーの社長の家なのに、どうして明太子がないの?』とツッコまれたそうです。明太子は嗜好品ですので、なくなっても『すぐに買おう』と行動してもらうのは難しい。しかし定期便という形態では、その時々の消費ペースに合わせることができません。IoTの力で便利に届けられないか、というのが発端でした」(瀨﨑氏)
そこで開発したのが、冷蔵庫に設置できる明太子ケース「ふくやIoT」。明太子の重さを自動計測し、なくなるタイミングに合わせて自動的に注文される仕組みだ。
「ふくやIoT」の実物を披露した。
2019年4月1日にTwitterで試験運用のモニター参加者を募ったところ、「エイプリルフールネタでは?」「本当にやるのか?」と驚きの声が寄せられた。参加者にも、Twitterでの発信に協力してもらっているそうだ。
「ふくやIoT」では、「SORACOM Lagoon」のダッシュボードを活用して消費傾向を把握しながら、自動注文の閾値を設定している。これまで見えてこなかった消費パターンを詳細に確認することができるため、マーケティングのアプローチ改善への期待も大きいという。
「これまで『なくなっていませんか』とお電話させていただくためには、注文履歴などから仮説を立てるしかなかったのですが、データが取れればより適切なタイミングでお声がけできます。将来的には完全自動配送や、冷凍していない出来立て明太子の配送にも取り組みたいと思っています」(瀨﨑氏)
また、朝によく消費している家庭には時短レシピを、夜の場合はメインディッシュでの使い方を紹介するなど、スタイルに合わせた明太子のレシピ提案も可能になる。瀨﨑氏は「明太子メーカーのIoTは、(I)いつも、(O)おいしい、(T)とどく。モニター第2弾の募集も検討しています。これからも温かい目で見守っていただければ嬉しいです」と今後の展望を語った。
