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BtoC企業におけるコンテンツマーケティングの極意(AD)

280万人の会員のエンゲージメントを高める 動画をフックにしたワコールのコンテンツマーケティング戦略

 2019年11月で創立70周年を迎えたワコールは、長年コンテンツマーケティングに取り組んでいる企業の1社だ。今回、同社の川勝和美氏に、コンテンツを通じた顧客とのエンゲージメント構築の取り組みについて聞いた。「スマホ時代になってより動画の力が増した」と語る、その背景と運営の仕組みとは?

商品を購買しても、ブランドへの興味関心が高いわけではない

――ワコールのWebサイトは、各ブランドの製品情報だけでなく、レシピやキレイのヒントが詰まったコラムから、下着の干し方といったHow To 動画まで、まるで雑誌のように多彩なコンテンツが詰まっていますね。

川勝:ありがとうございます。私のメインの仕事のミッションとしては、自社のWeb会員組織「MyWacoal」のCRMを担っています。その過程で、読み物や動画を活用したコンテンツマーケティングにも、10年以上取り組んできました。

――ワコールさんのWeb会員組織は、どの程度の規模なのでしょうか?

川勝:立ち上げた当初はメルマガ会員のみでしたが、徐々にECサイトの会員や直営店の購買客とのデータ統合が進み、今では約280万人の規模まで拡大しています。ただ、規模は拡大していますが、単純に「購買客=ワコールに興味がある方」ではないんです。

――商品を買ったとしても、必ずしもブランドへの興味関心が高いわけではないと。

川勝:はい。というのも、下着の購買頻度はどの程度だと思いますか? 実は年に1回、もしくは2年の1回という方が大半を占めており、頻度はとても低いんです。

 年に1度という数少ない購買機会において、ワコールのことを想起してもらうには、買うタイミング以外での継続的なアクションが非常に重要です。このような背景もあって、早くからコンテンツを活用した顧客との関係性維持に取り組んできました。

株式会社ワコール  総合企画室 広報・宣伝部
Web・CRM企画課 川勝和美氏

スマホ時代、動画コンテンツが強力なフックに

――ワコールさんのWebサイトには、テキストコンテンツだけでなく、動画も豊富です。スマホ時代に突入し、生活者が動画を楽しみやすい環境が整ってきましたよね。

川勝:そうですね。若年層を中心に、動画のコンテンツを見ることにみんなが慣れてきたように感じています。ただ、長い動画はなかなか見てもらえません。ワコールでは、まずは興味を持つきっかけ作りとして、軽めの動画を用意しています。

 たとえばブラの正しい洗い方も、さっと見られるように短めの動画を提示し、より詳しく知りたい方には動画を解説するテキストコンテンツに導くようにしています。サイト上のユーザー行動を検証したところ、動画もテキストも一緒に掲載したほうがユーザーにとって便利だとわかったので、去年からコンテンツを整理して、よりユーザー導線にあった配置に変更しました。

 10年以上前から動画を活用してきて、管理する量が増えたこともあり、弊社では2018年からブライトコーブの動画配信プラットフォーム「Video Cloud」を利用しています。これまでに作った動画を一元管理できるようになり、効率的な運営体制を実現することができました。最大限にコンテンツを活用するためには、運営管理の負担を軽減するツールの存在はありがたいです。

「ブラの正しい洗い方」をコンパクトな動画にまとめている

動画を積極的に活用するための仕組み

――動画を積極的に施策に活用していく上で、運営管理の面で大変なことはあるのでしょうか。

川勝:やはり管理するコンテンツが増えるにともない、運営の工数は大きくなります。たとえば「あの動画を使いたいのだけど、どこにある?」という他部門からの急な問い合わせに対応するのも、かつてはDVDに動画が保存されていたりして、探すだけでも一苦労でした。

 また、公開期限が決まっているモデルを起用した動画などを適切な日時で公開・非公開の設定にするのも、人力で対応していた時は大変でした。そしてWebサイトだけでなく、各SNSなど様々な媒体で動画を利用していますが、プラットフォームごとに分析ツールもバラバラだったので、各コンテンツの結果を一つの画面でみたいという思いもありました。

 こういった様々な課題を、「Video Cloud」を活用することで、乗り越えることができました。権限管理機能も備わっているので、今では部署を横断して管理する体制になっています。

動画の活用から効果測定まで、一気通貫で可能に

――制作した動画コンテンツは、Webサイト以外でも活用しているのでしょうか?

川勝:ECサイトや店頭、SNSアカウント、そしてアプリでも利用しています。特に今はFacebookやTwitter、YouTubeなど様々なSNSで多くのお客様とつながっているので、重要な顧客接点です。

 ただ、動画を公開する本数や媒体が増えるほど、それぞれのアカウントにログインして、設定する工数も増えます。また管理画面もバラバラなので、効果を比較するのも大変です。そこで弊社では、「Brightcove Social」を活用することで、その手間を大きく削減しました。

 具体的には、「Video Cloud」に動画を格納することで、FacebookやTwitter、YouTubeに、それぞれログインすることなくコンテンツを配信し、各SNS上での再生数なども1つの画面で分析することができるようになったのです。他には予約投稿もできるので、この機能は現場の担当者に重宝されています。

――1つのダッシュボードで、それぞれの媒体における動画のパフォーマンスをチェックすることで、施策の成否の判断も素早くできますね。

川勝:そうですね。ソーシャルデータを一元管理することで、それぞれの媒体でのROIを把握しつつ、全体最適の視点での施策のチューニングもしやすくなりました。同時に、管理するだけでなく、視聴回数、視聴維持率といった視聴データでの分析もできるので、どの媒体にはどんなコンテンツが当たるのかを検証しています。

動画を入り口として、深いブランド理解を促す

――動画をうまく活用することで、購買タイミング以外での顧客接点を作るフックになると思いますが、ワコールさんではどのような施策を組んでいるのでしょうか?

川勝:たとえばワコール直営店の公式アプリ「WACOAL CARNET」は、ポイントがたまるので店頭での購買タイミングでは起動されますが、それ以外のお客様の日常生活の中ではなかなか使っていただくきっかけが作りづらいという課題がありました。そこで、お洗濯の仕方や下着の使い分けといった1分程度のアニメ動画を作って配信したところ、非常によく見られています。

――アプリ以外では、どんなどころで動画をマルチユースしているのでしょうか?

川勝:これまで作成した動画をまとめたポータルサイトを用意していますが、実はお客様向けだけでなく、社内に向けたインナーブランディングや販売員の教育にも動画を活用しています。

 たとえば、ワコールの製品が実際にどう作られているのか、工場見学を体感できるファンイベントを東京・京都で開催しました。実際に工場で、ブラジャーが一枚ずつミシンで手縫いされている光景は、テキストではなかなか伝えづらく、動画だからこそ伝えることができるメッセージとインパクトがあります。このイベントの様子を録画し、参加者の生の感想を動画に収めて社内に共有したところ、波及効果はすごかったですね。

 また別の観点では、ワコールには全国に何千人もの販売員が働いています。その方たちに向けた新製品やセールストークに関する教育動画も作成し、社内イントラを通して配信しています。販売員の方もどこでも手軽に必要な時にスマホで動画を見て勉強できる環境として活用し始めました。同時に、これまでの集合研修でかかっていたコスト削減にもつながっています。

 「Brightcove Gallery」という動画ポータルを簡単に構築できるクラウドサービスを使っているので、Webページを作るのも簡単です。様々な動画ポータルサイト用のテンプレートが用意されているので、私一人でもあまり時間をかけずに作ることができます。かつては制作会社にLPの作成を外注していたのですが、そのコストを削減できたことはとても大きいですね。

顧客とのエンゲージメントの深化をどう示すか?

――動画の活用をはじめ、コンテンツマーケティングに取り組む最終的な目的は、顧客とのエンゲージメントの深化だと思います。しかし、その成果を示すのは簡単ではありません。ワコールさんとしては、この課題にどう向き合っているのでしょうか?

川勝:弊社のオウンドメディアとしては、商品情報サイトとは別に、「WACOAL BODY BOOK」というオウンドメディアも運営しています。「もっと製品情報を出すべきでは?」という社内の声もありますが、1年に1回した買わないアイテムの商品のセールス情報ばかりでは、お客様と接点を持ちづづけることは難しいと思っています。

 女性が興味のある情報を出しながら接点を持ち、そして実はワコールが発信していた情報だと気づいてもらう、といった設計のもと始まったのが「WACOAL BODY BOOK」です。でも、理念だけではダメで、どれだけ売上に貢献しているのかは、常に問われます。

 ですので、先ほどお話ししたファンミーティングを実施した際に、イベントの前後で来場者の購買行動がどうかわったのか、実際にデータで検証するなど、説明責任を果たす取り組みに挑んでいます。今は購買データと会員データがつながってきたので、少しずつですが以前よりも成果を示しやすい環境になっています。

 同時に、一つひとつのコンテンツ作成にも真摯に向き合っています。例えば動画においては、視聴回数だけでなく、最後まで見られてこそ、エンゲージメントを深めることができます。「Video Cloud」のアナリティクス機能には、視聴データを元に動画ごとにエンゲージメントを示す指標が備わっているので、それらの指標を追いながら、最後まで見てもらえるコンテンツ制作に挑んでいます。

 長年取り組む上で、ロングテールのコンテンツ作成のノウハウも徐々に溜まってきました。今後も派手さというよりは、長く続けながら成果に結び付く取り組みをしていきたいですね。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/04/28 09:52 https://markezine.jp/article/detail/32386