度重なる転職、それでも一貫していたこととは
MZ:様々な会社で異なる仕事をしていたんですね。ここまでのキャリアで一貫して持っていた軸はありますか。
渡邉:3つあって、1つ目は新たな環境でチャレンジができるかどうかです。ここまでお話しした企業で行った仕事はどれも、異なっています。自分がこれまでやってきた仕事内容のまま、別企業に転職する方も多いと思いますが、私は今の自分に満足せず新しい環境で違う仕事に取り組んでみたいタイプなので、常に新しい環境を求めるようにしていました。
2つ目はご縁ですね。いくら能力があっても、それが活かされる会社でなければ活躍するのは難しい。「自分ならこの会社で貢献できるかも」という縁を感じるかどうかは気にしていましたね。

MZ:3つ目はなんでしょうか。
渡邉:3つ目は、自分が描いていた将来に対するイメージに対して、その会社がフィットしているかどうかです。これも判断基準にしていました。
日本からの海外展開がしたくてミツカンに
MZ:では、ミツカンに入ったのはなぜですか。
渡邉:ミツカンのブランド・商品に昔から触れていたのが大きいですね。餃子を味ぽんで食べる習慣が我が家にあって、お酢もミツカンの商品だった。さらに、本社が愛知県にあるんですが、私の地元が岐阜県と比較的近いこともあり、愛着を感じたのが入社理由の1つです。
MZ:ミツカンという会社、ブランドが好きだったということですね。新しいチャレンジが軸になっているとおっしゃっていましたが、その視点だといかがですか。
渡邉:日本企業の本社で仕事をしたいと思ったからです。これまで外資企業の日本支社で働くことが多かったので。今後日本は人口が減少し、国内市場が縮小していくのは目に見えています。そのため海外展開が今後求められていくと思うのですが、ミツカンであればそういった経験ができると思っていたので、入社を決めました。
バリューチェーン全体のデジタルシフトを推進
MZ:現在ミツカンではどういった業務をしているのでしょうか。
渡邉:組織と人材のデジタル変革を進めています。変革する領域もバリューチェーン全体になるので、マーケティングのみならず物流や生産、サービスなど幅広い領域におけるデジタル活用を考えています。
MZ:デジタルシフトを進めていくと、反発や抵抗が起きるケースもあると思うのですが、そこはどのように解決していますか。
渡邉:反発や抵抗というのは常にありますが、ミツカンは派閥や社内政治がなく、良いものであれば変えていくべきという社風があります。そのため、デジタル化をする意味をきちんと伝えれば、理解してくれるので、非常にありがたい環境にいると思っています。
MZ:これまでのキャリアの経験が活かせている部分ってありますか。
渡邉:幅広い領域の仕事に関わってきたことだと思っています。CDOに求められるものって非常に幅広いと思うんです。ロジカルな要素も求められるし、アートっぽい要素も必要です。幅広い企業で大企業からベンチャーまで経験してきて、データ活用に関する経験もある。店舗販促などリアルの部分も知見があるので、様々なところで活かせると思います。
MZ:反対に、ミツカンに入って新たな経験や気づきは得られましたか。
渡邉:すごく当たり前のことかもしれませんが、すべての人が気持ちよく仕事ができることをより考えるようになったことですね。そして、企業の融合と変革のバランスを探るのも、新しい経験だと思っています。
ミツカンはプロパー(新卒)社員が多く、私は中途入社でそれなりのポジションで入ってきました。その中では、丁寧なコミュニケーションで融合していくことが求められますし、一方で変えていかなければならない部分には積極的に提案をしないといけない。2018年11月に入社したのでミツカンに入ってから1年が経ちますが、そのバランス感覚が得られているのは非常に大きな経験です。