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MarkeZine Day 2025 Retail

奥谷さんと学ぶ、"勝てる"マーケティング思考

消費者視点のオムニチャネル戦略で重要な3つのポイント、鍵を握る店頭受取サービスの導入

店頭受取サービスで得られるお客様の声

 前職時代の経験からわかっているのは、買い物には計画購買だけでなく、非計画購買もあることです。店舗における買い物価値は、ネットでも買える時代になっても変わりません。だとすると、店舗に来てくれるお客様を大事にするべきですよね。そんなお客様を理論的に理解する上で、関係する研究を紹介しましょう。

 まず、技術受容論です。買い物体験に限らず、PC、ウェアラブルデバイス、スマートスピーカーのような新しいテクノロジーを、消費者がどう受け入れるかについての基本的な考え方です。時が経てば、今は新しいテクノロジーでも生活の中に溶け込んでいきます。たとえば、今では当たり前のモバイルペイメントも2010年代の初めはそうではない。テクノロジーが受け入れられると、今度はもっと消費者心理を深く理解する必要が出てきます。

 そこで必要になるのが、合理的行為理論や計画的行為理論です。簡単に言えば、なぜそう行動するかを直接聞くことで、消費者を理解しようとするアプローチです。前述した通り、店頭受取サービスであれば、聞くチャンスがあるわけですから、自分なりの合理性を持って行動しているお客様を理解することができるはずです。今は少人数でも、店頭受取サービスを利用するお客様は徐々に増えていくでしょう。実際に聞いてみて、答えてもらえたお客様を大切にするのです。大切にすると言っても、必ずしもクーポンを配るというわけではありません。お客様に聞いてわかったことを体験設計に反映するのです。

 お客様が企業視点で面倒に見えるような買い物方法を選択することには、何らかの意味があるはずです。店舗スタッフがネットに売上を取られることに脅威に感じているなら、なおのことなぜそう行動するのか、なぜその買い方をするのかを理解するべきです。チャネルをシームレスに統合する企業視点のオムニチャネルではなく、お客様との会話の中から理由を直接聞き、お互いに理想とする環境を作ろうではありませんか。ネットから店舗に来る流れを作ることが、これからの小売業にとって良い顧客体験の創出につながるし、それが、OMO(Online merges offline)の理解にもつながることでしょう。

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この記事の著者

奥谷 孝司(オクタニ タカシ)

オイシックス・ラ・大地株式会社 専門役員COCO(Chief Omni-Channel Officer)
株式会社顧客時間 共同CEO 取締役
株式会社イー・ロジット 社外取締役
株式会社Engagement Commerce Lab. 代表取締役

1997年良品計画入社。3年の店舗経験の後、取引先の商社に出向しドイツ駐在。家具、雑貨関連の商品開発や貿易業務に従事。帰国後、海外のプロダクトデザイナーとのコラボレーションを手掛ける「Worl...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/12/04 09:00 https://markezine.jp/article/detail/32454

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