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奥谷さんと学ぶ、"勝てる"マーケティング思考

モバイルオーダーから考えるRaaS時代の店舗体験 小売、そしてメーカーが求められる変化とは

 最近、Amazon Goほどではなくても、日本でも新しい体験のできる店舗が増えてきたと感じています。前回紹介したTRIALもその例に当てはまりますが、店舗のデジタル化に関連する最新事例を紹介し、オムニチャネルの拡張について考えてみたいと思います。

サントリーやクラスメソッドによるモバイルオーダーサービスの開始

 スマートフォンから注文をして店頭で受け取るサービスを研究する中、私は二つの事例に関心を持ちました。一つは、2019年2月に秋葉原でオープンした「Developers.IO CAFE(デベロッパーズアイオーカフェ)」です。

 「完全キャッシュレス」「レジレス」「ウォークスルー」の体験型カフェで、ユーザーは注文の列に並ぶ必要なく、支払いに手間取ることもなく、アプリを使って商品を受け取ることができます。

 その運営を行うのは、私がアドバイザーを務めるプリズマティクスの親会社でIT企業のクラスメソッドです。クラスメソッドは、2019年7月から昭和女子大学現代ビジネス研究所とダイエーが進める大学構内での「スマートストア」の実証実験にも、技術支援の立場で関わっています。

 もう一つの事例は、2019年6月に日本橋にできた、サントリーのBOSSブランドが手がけるモバイルオーダー専門店「TOUCH-AND-GO COFFEE」です。注文は友だち登録をしたLINEから行います。そのシステムは、ベースドリンク、コーヒータイプ、甘さ、フレーバーを選び、受取時間を決め、決済を終え、その時間にお店に行けば、ロッカーから受け取ることができるというもの。決済はLINE Payのほか、クレジットカードも使えます。

スタバのモバイルオーダーを試して実感した意外なメリット

 この二つはモバイルオーダーのみ受け付ける店舗の例ですが、2019年6月から始まったスターバックス コーヒー ジャパンの「Mobile Order & Pay」は、通常の決済も可能な店舗で展開しています。米国などで先行していたサービスであり、国内ではまだ都内の一部店舗にとどまりますが、2020年内に全国展開を目指す計画があると聞きます。

 実際に私が試してみたところ、スマートフォンアプリから注文と決済を行い、店舗に着いたら商品を受け取るだけなので、レジ待ちのストレスがなくなるというメリットを実感しました。

 また、新たな使い方としてOrder & Payが便利だと感じているのは席を確保してから注文ができるということです。スタバで支払いを済ませてからドリンク片手に席を探すことはよくあると思います。少しずるいかもしれませんが、先に席を確保して注文商品ができあがったら取りに行けばよいことを思いついたことは意外な発見でした。

 ものすごいイノベーションではありませんが、このように新しいテクノロジー、サービスの利用方法をユーザー側が自ら考えるという行動も注目に値します。実際サントリーの「TOUCH-AND-GO COFFEE」において、お客様がラベルネームをカスタマイズできる点を利用して、自分の好きなアイドルやキャラクターの名前でラベルを作ることが流行っているとのこと。マーケター、企業が想定しなかった使い方が現れるのも、デジタル時代の顧客体験ならではかもしれません。

 Amazon Goのインパクトは日本にも波及しており、最近のベストセラーの題名の一部にもなった「アフターデジタル」を体現していると感じます。『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』の著者である藤井保文氏と尾原和啓氏は、アフターデジタルを「リアル世界がデジタル世界に包含された世界」と定義しました。

 従来のリアルが主でデジタルは従という世界と比べると、アフターデジタルの時代は、顧客は常にデジタル世界に接続しており、ときどきデジタルを利用したリアル店舗や人を訪問してくれるという世界になります。

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この記事の著者

奥谷 孝司(オクタニ タカシ)

オイシックス・ラ・大地株式会社 専門役員COCO(Chief Omni-Channel Officer) 株式会社顧客時間 共同CEO 取締役 株式会社イー・ロジット 社外取締役 株式会社Engagement Commerce Lab. 代表取締役1997年良品計画入社。3年の店舗経験の後、取引先の商社に出向しドイツ駐在。家具、雑貨関連の商品開発や貿易業務に従事。帰国後、海外のプロダクトデザイナーとのコラボレーションを手掛ける「World MUJ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/09/04 09:00 https://markezine.jp/article/detail/31753

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