これまで数回の記事で「消費者視点のオムニチャネル戦略」を考える上で何を理解するべきなのかを解説してきました。これは私の博士論文の重要な問いでもあります。今回はその集大成となる3つのポイントを紹介しましょう。
モバイルショッパーマーケで増すTechと店舗スタッフの重要性
以前、モバイルショッパーマーケティングについて解説した時、小売業はショッパーとユーザーを明確にしなくてはならないと説明しました。モバイルテクノロジーが今ほど消費者の生活に浸透していなかったショッパーマーケティングの時代、小売業は効果的な施策を展開したくても、自分たちで顧客データを得ることが難しく、メーカー主導の施策に頼らざるを得ないことにフラストレーションを感じていたと思います。
ところが、トライアルカンパニーのような会社の登場で、テクノロジーを活用すれば顧客データを獲得し、小売業主導でショッパーマーケティング施策を展開することは十分に可能と証明されたのです。テクノロジー投資と言っても、TRIALの店舗ほど大掛かりな投資の必要はなく、モバイルアプリを使ってもらうという手段も十分効果的です。
テクノロジーの重要性が高まるのと同時に、店舗スタッフの重要性も高まっています。お客様はウェブルーミングやショールーミングを経て、知識を持って店舗に来るため、店舗スタッフもただ良い接客をすればいいというわけにはいかなくなるのです。たとえば、下調べをしてから来店したお客様に「お客様、ネットでお調べになっていらしたのですね。どうもありがとうございます」というコミュニケーションや接客がこれから必要になりますが、それができる仕組みがなければ、その声がけもできません。
学術的にモバイルショッパーマーケティングの考え方を発表したのは、2016年のシャンカー先生です。この先生は図1のようなカスタマージャーニーを提示しました。
お客様が商品を検討する時、店舗に来ることもあれば、ウェブルーミングをすることもあります。無人店舗ではなく、店舗スタッフがモバイルテクノロジーを駆使して接客することが理想なわけですが、そこまでいかなくとも、自社のECサイト、SNSでどんな情報発信をしているのかといった情報の共有と理解が店舗スタッフにできている状態を作ることが大切です。それがあってこそ、オムニチャネル戦略が機能すると思うのです。さらに願わくば「お客様は誰で、店舗で何を買っているか」を把握し、店舗で接客、応対するスタッフの評価とインセンティブにつなげる必要があります。
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- この記事の著者
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奥谷 孝司(オクタニ タカシ)
オイシックス・ラ・大地株式会社 専門役員COCO(Chief Omni-Channel Officer)
株式会社顧客時間 共同CEO 取締役
株式会社イー・ロジット 社外取締役
株式会社Engagement Commerce Lab. 代表取締役1997年良品計画入社。3年の店舗経験の後、取引先の商社に出向しドイツ駐在。家具、雑貨関連の商品開発や貿易業務に従事。帰国後、海外のプロダクトデザイナーとのコラボレーションを手掛ける「Worl...
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