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サッカー来場者の悩みをデジタルが解決!ジェフ千葉×ウフルの顧客満足度向上施策に迫る

実際の導入で得られたメリットは?

平地:7月に行った2週連続のホームゲームで行ったとのことですが、具体的にはどのような試験導入をしたのか教えてください。

高橋: 7月20日のアビスパ福岡戦と7月27日横浜FC戦のキックオフ2時間半前(優先入場)~前半40分、後半5分~後半30分を対象時間とし実施しました。エリアもフクダ電子アリーナの最上級指定席であるジェフシートとSS指定席と絞り、ソーセージ盛りやビールなどをデリバリーしました。

当日の様子
当日設置された「売り子ール」のカード ⒸJEFUNITED

平地:試験導入を進める中で、良かった点と難しかった点をおうかがいします。まず良かった点を教えてください。

高橋:当日テレビ番組の取材も入っていたのですが、観客の方へのインタビューを見ると、「ハーフタイムにトイレに行くだけで済んだ」「子ども連れだけど並ばずに済んだ」など、ポジティブな意見が集まっていたので良かったです。ファミリー層の方もお酒を飲みたいニーズがあったんだ、ということがわかりました。

 また、とても興味深いのが試合結果と売上の相関です。1試合目は3点入って、3点目が入ったときに注文が殺到したんです。でも翌週の負けた試合は、あまり売上が伸びなかった(笑)。試合の結果が、売上に直結するということも「売り子ール」の導入で明らかになりました。

平地:これまで勝っていたとしても、買いに行けなかった人たちが「祝杯だ!」と買うわけですね(笑)。

立石:これまで稼働していなかった時間帯にビールが提供できたのは、非常に大きなメリットだったと思います。また、誰が何杯飲んでいるのかもわかるので、その傾向をもとに新しい打ち手も考えられると思います。

利益に見合うオペレーションが必要に

平地:反対に、難しかった点はいかがでしょうか。

高橋:オペレーションの人数と売上の相関ですね。対象エリアで観戦していた方が約500名だったんですが、そこから100杯程度の注文が来るわけです。ただ純利益を考えたときに、オペレーションの人数を考えると、コストと利益が見合わないんです。そのバランスを調節するのが、今後の課題ですね。

立石:野球は売り子さんがたくさんいますが、サッカーの場合観戦の妨げになるという懸念点もあり、売り子さんがそこまで配置されていません。そのため、新たにデリバリー用の人員を増やす必要があるんです。

平地:でも、元々売り子文化が根強くないからこそ、デリバリーは最適なのかもしれませんね。利益との兼ね合いが課題とのことなので、デリバリーにスポンサーを付けるなどの工夫が求められそうです。

立石:そうですね。その他にもメニューを工夫したり、得点が入ったらタイムセールを仕掛けたりするといったこともアイデアとしてはあると思います。タイムセールはまだ仕組みとして導入していませんが、そういった仕組みを今後採用していきたいです。

高橋:今回の実証実験では、当日満員ではなかったものの「もし満員だった場合にどうするか?」という問題もあります。たとえば、満員だと通路側のお客様から内側のお客様への商品を受け渡す必要が出てきます。野球ではそういった文化がありますし、受け渡しする時間もありますが、サッカーの場合は常に動きがあり、試合の流れも速い。そのため、お客様同士の手渡しが負担にならないかという心配もあります。

立石:デリバリー用の仮説基地を用意していただいたので、そのあたりの整備も今後必要だなと感じています。サッカースタジアムって飲食売店とかのスペースやシステムが整っていない部分もある。かつ、スタジアム側の調整も必要なので、ハード面での課題も大きいと感じています。

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対象の2割が利用する結果に

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/12/12 09:00 https://markezine.jp/article/detail/32480

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