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“意味のイノベーション”で問い直す、生活者との関係性

多様化する生活者の価値観に、マーケターは追いついているか 突破口は議論ではなく「対話」にあり

 「意味のイノベーション」の考え方を基に生活者との関係を問い直し、ヒット商品・強いブランドを構築するヒントを探っていく本連載。第2回は、新たな意味を実現するための「対話」のアプローチに焦点を当てます。議論とは何が異なるのか、対話におけるリサーチデータの活用法、対話の中で生まれてくる言葉の重要性について学んでいきましょう。

求められる企業の“オリジナリティ”

 前回の記事では、組織において「こんな意味を届けたい」という共通のスタンスを形成していくことが、マーケティングにおいて重要な役割を果たすことをお伝えしました。

 生活者の価値観は多様化しています。デバイスやメディア環境の変化を受けて、この傾向はさらに強まっていくでしょう。こうした中、どんな価値観が刺さるかを探し当てようとする「正解探しモード」では、変化のスピードに追い付けずに振り回されてしまいがち。ニーズやインサイトを正確に捉えようとするだけでは、多くの人に響くようなヒットを望むことは困難です。こうした状況の下、生活者に支持される商品を生み出すには、どんな方法があるのでしょうか。

 企業と生活者の関係性を人間関係に置き換えてみると、そのヒントが見えてきます。他の人とはちょっと違う人に魅力を感じるという経験をもっている人も多いのではないでしょうか。生活者と魅力的な関係性を築くためには、まず作り手自身の価値観にオリジナリティがあることが大切です。

図1:企業側の価値観の固着化と生活者側の価値観の多様化(筆者作成)
図1:企業側の価値観の固着化と生活者側の価値観の多様化

アパレルブランドのヒットから読み解く、価値観の重要性

 近年注目を集めている事業には、その価値観への強い共感が生まれているものが多く見られます。たとえばALL YOURSというアパレルブランド。彼らはブランドサイトにおいて、「UnFashionとしての服」をコンセプトに掲げ、着飾るための服ではなく、「仕事と日常生活関係なく着られる。着ているときはストレスがなく、その後の手入れも簡単。それでいてちゃんとして見える」 という服を届けたいと発信しています。また、生活者を顧客ではなく、ブランドを一緒に形作っていく「共犯者」と表していることも特徴的です。

 オアシススタイルウェアのワークウェアスーツやワークマンのヒットも印象的です。前者は「スーツに見えますが、作業着です。」というキャッチコピーの下、ブルーカラーやホワイトカラーという概念を取り払おうと、「世界中の働く人を、快適に、笑顔に。そしてカッコよく。」という想いをプロダクトに込めています。

 後者は「プロの人たちが満足できる商品の提供」というモットーを掲げ、現場のプロに愛用されるリーズナブルなブランドとして定着していたことが、現在のブランドの魅力に繋がっています。

 企業の価値観が何度も問い直され、磨かれている。それがオリジナリティあふれる言葉で表現され、商品にしっかりと根付いている。だからこそ生活者は、ブランドに魅力を感じるのではないでしょうか。こうした関係性が実現していることが、ヒットの要因であると言えるでしょう。

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この記事の著者

小田 裕和(オダ ヒロカズ)

株式会社ミミクリデザイン ディレクター/デザインリサーチャー。東京大学大学院 情報学環 特任研究員。千葉工業大学大学院工学研究科博士課程修了。 博士(工学)。千葉県出身。新たな価値を創り出すための、意味のイノベーションやデザイン思考といったデザインの方法論や、そのための教育と実践のあり方について研究...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/01/30 08:00 https://markezine.jp/article/detail/32745

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